JPモルガンやウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカらを追撃するシティは、「Citi Priority」や「Citigold」などのアカウントを保有するロイヤルな顧客には、無料でサービス提供を行う。その他の顧客は0.55%の手数料支払いと、残高を1500ドル以上に保つことが必須となる。
シティは今回のプログラムを通じ、次世代の金融サービスを提供していくと述べた。
他の金融機関が提供するロボアドバイザーと同様に、Citi Wealth Builderはまず、顧客らの好みを質問し、それに適合するポートフォリオを提案する。顧客はリアルタイムで投資額の調整が可能で、成績を確認できる。24時間体制のサポートも提供される。
シティはシステム開発をInvescoの一部門であるJemstepに委託した。同社は既にCitigrold会員向けに手数料無料のETFトレーディングや、投資プランニングサービスのCiti Wealth Advisorを提供中だ。
若い世代の間で、モバイル経由の投資サービスが人気を博す中で、シティのロボアドバイザー分野への進出は、必須の課題となっていた。手数料無料の株取引アプリを提供する米国のユニコーン「ロビンフッド」のアカウント数は、昨年末に1000万件を突破していた。ロビンフッドの企業価値は昨年7月に76億ドルとされていた。
シティが今回、一部の顧客限定ではあるが手数料無料を打ち出したことは、業界のトレンドとも合致する。米国のインターネット証券チャールズ・シュワブは昨年、同業大手のTDアメリトレードを260億ドルで買収したが、10月にシュワブは株式取引料の無料化を発表し、TDアメリもそれに追随していた。
資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツも10月に、株やETFの取引手数料の撤廃を宣言していた。株取引の手数料ゼロが一般的になる中で、この分野の大手は富裕層向けの資産管理サービスなど、新たな収益源の確保を模索している。
富裕層に強いゴールドマン・サックスも、年内のロボアドバイザーサービスの立ち上げに向けて動いている模様だ。