米国で人気の「先祖探しサイト」がFBIへの捜査協力を拒否

Photo by RJ Sangosti / Getty Images

米国で人気の家系図作成サイト「Ancestry(アンセストリー)」は、米国政府へのDNAデータの提出を拒否したと発表した。Ancestryは先祖をたどって何世代もさかのぼり、自分のルーツ探しができるサービスとして人気を博している。

利用者は自分や親、親戚の名前や生年月日、過去の居住地などを入力すると、データベースに貯蔵されたデータと照合した結果から、自分のルーツを探ることができる。Ancestryは、DNA鑑定サービスも提供している。有料のキットを取り寄せ、唾液のサンプルを送ると、鑑定結果を知ることができる。

Ancestryは先日公開した透明性レポートで、FBI(連邦捜査局)からDNAの提出依頼を受けたが、倫理面の問題からこの要請を拒否したと述べた。Ancestryが同様な要請を拒否するのは、公開されている中ではこれが2回目だ。

同社の競合サービスのGEDmatchは、過去に捜査機関にDNAデータを提供していた。同社が提供したデータから2018年4月、カリフォルニア州当局が「ゴールデン・ステート・キラー」の名で知られる連続殺人犯の逮捕に成功していた。

さらに、昨年の末のニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道でも、フロリダの警察がGEDmatchのデータベースを捜査に用いたと伝えられた。Ancestryによると、同社はDNA以外にも様々なデータの提供を、当局から求められていたという。クレジットカードの不正利用や盗難や詐欺関連で、個人のデータの開示を求められたが、これを拒否したという。

「FBIは捜査令状を提示し、当社のデータベースにアクセスしようとしたが、当社はこれを拒絶した」とAncestryは述べた。「さらに、正当な法的手続きを経ない当局の要求も多数あったが、これらも拒否している」

遺伝子データは非常にセンシティブな個人データだが、Ancestryや23andmeなどの企業にデータを提供した場合、それがFBIの捜査に利用される可能性があることは覚えておきたい。

編集=上田裕資

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