ビジネス

2020.02.08

日本発、世界に向けて仕掛ける「スポーツ業界」の変革──テクノロジーを取り入れ、市場を拡大せよ

「SPORTS TECH TOKYO」デモデイの様子


世界は拡大、日本は縮小


新しいアイディアを持つスタートアップと企業やチームを結びつけるプラットフォームにおいて、「グローバル」は重要な要素といえる。実は、日本のスポーツビジネス市場は、拡大を続ける世界に逆行して縮小という大きな課題を抱えており、世界のインプットを必要としているのだ。

スポーツビジネスは主にチケット、放映権、スポンサーシップが収入源となるが、これらを足したスポーツ市場は、世界は2009年から2013年は年平均成長率7%、2013年から2017年は年平均成長率5%で成長しているのに対し、日本は2002年から2012年の10年間、約7兆円から約5.5兆円と、実に2割近く減ったのだ(スポーツ庁の資料による)。その後を調べた日本政策投資銀行(DJB)の調査では、日本のスポーツGDPは2014年に約7.2兆円だったのが、2015年は7.4兆円、2016年は7.6兆円と増えてはいるが、成長の余地はもっとありそうだ。

サンフランシスコを拠点とし、米国事情に精通するスクラムベンチャーズの宮田拓弥は、「日本ではスポーツが進化していない」と課題を指摘する。

スポーツは”観に行くもの”から、TV中継により”家でも観戦できるもの”に変わったが、そこから日本は進化していないというのだ。一方の米国は、モバイル端末のアプリをはじめ様々なタッチポイントで体験できるように進化しているという。宮田はMLB(メジャーリーグベースボール)を例にとり、「アプリが大成功している。試合に来なくても課金サービスの利用者おり、デジタルコンテンツとして成功している」と紹介した。

スポーツでお金を設けてはいけないという「体育」の価値観も影響しているのだろうか? 中嶋は同意しながらも、「プロ野球、Jリーグなど変化が始まっている。楽天、ソフトバンク、メルカリなどの大手テック企業が入ることで変化が起きているし、トレーニングで技術やツールの活用が進んでいる」という。

「SPORTS TECH TOKYOは2020年以降を見据えている」と中嶋はいう。一過性のブームで終わらないためには、スポーツのエコシステムを大きくしなければ──大きなミッションに向けてSPORTS TECH TOKYOは動き出している。

文・写真=末岡洋子

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