米紙ニューヨーク・タイムズは、ヴィクトリアズ・シークレットの元従業員やモデルらを取材した結果、ハラスメントが繰り返され、女性がモノとして見られる風潮があることを発見した。問題の多くは、親会社エル・ブランズの経営幹部だったエド・ラゼックに関するものだった。
ラゼックはモデルに対して、キスしようとしたり、自分の膝に座るように頼んだり、性的な電子メールを送ったりしたほか、2018年のファッションショーの前にはモデルの股間を触ったこともあったという。
ラゼックを拒絶したあるモデルは、年次ファッションショーへの出演を見送られたと話している。その他のモデルたちも、ヌード写真の撮影に応じるようプレッシャーを感じたと告白した。ラゼックは昨年8月、エル・ブランズを退任している。
同社内の文化は、女性をモノとして扱うヴィクトリアズ・シークレットのブランド戦略を反映しているようだ。セクシーさや美しさとは何かについての考え方は変化しているが、同社がそれに適応できていないことは明らかだ。
それは、2015年にピークを迎えてから75%下落した同社の株価にも表れている。テレビ放送される同社の年次ファッションショーさえも、2019年はキャンセルされた。米金融大手ウェルズ・ファーゴが2017年に行ったアンケート調査では、回答者の60%がヴィクトリアズ・シークレットを「不自然」や「にせもの」と考えていた。
現代の「セクシー」の概念にはさまざまな体形が含まれるようになっているが、ヴィクトリアズ・シークレットはこの変化を受け入れていない。ラゼックは、自社の年次ファッションショーがファンタジー(夢想)を表現したものであることを認めており、異なる体形やトランスジェンダーのモデルを出演させる可能性について尋ねられても興味を示さなかった。
これには、エル・ブランズ創業者のレスリー・ウェクスナー最高経営責任者(CEO)も同意見のようだ。ニューヨーク・タイムズによると、ウェクスナーは昨年3月の会議で、異なる体形を含める業界のトレンドについての意見を求められた際、「美容整形外科医に『私をデブにしてください』という人などいない」と返答した。