エリオットは水面下でソフトバンクグループ株を買い集め、その総額は25億ドルを超え、ソフトバンクの時価総額の約3%に達した。同社はソフトバンクに対し、自社株の買い戻しや企業統治の改善など、株価の浮揚につながる変革を求めているという。
ソフトバンクグループの株価はこのニュースを受け、2月6日の市場で約9%高となった。同社の株価は昨年夏にウィーワークのIPOが頓挫して以来、6カ月間で15%近い下落となっていた。
ニューヨーク本拠のエリオットは、ウォール・ストリート最大のアクティビスト・ヘッジファンドの1社として知られ、運用額は350億ドルに及ぶ。同社は不良債権投資に強いヘッジファンドで、法廷闘争を得意としている。
1997年にエリオットを創業したポール・シンガーは闘争的なディールメーカーとして知られ、彼の保有資産をフォーブスは35億ドルと試算している。
エリオットの幹部は既にソフトバンク創業者の孫正義らと面談しており、双方の協議は現在のところ協調的に進んでいるとWSJは伝えた。
エリオット側はソフトバンクに対し、企業統治の改善策を提案し、その中にはビジョン・ファンドの投資決定に関する透明性の向上が含まれている。また、100億ドルから200億ドル規模の、自社株の買い戻しも要求している模様だ。
ソフトバンクの広報担当者はWSJの取材に「我々は、当社の株価が非常に過小評価されている点には完全に同意する。株主からのフィードバックを歓迎する」と述べた。
エリオットの広報担当者は「当社はソフトバンクの経営陣と非公開の対話を重ね、同社が市場で過小評価されている状況を脱し、適正な評価を受けるためのソリューションについて前向きな協議を進めている」と述べた。
エリオットは昨年9月にAT&Tの株式、32億ドル相当を取得したことを開示し、取締役会に厳しい口調の書簡を送りつけた。同社はAT&Tに対し、大規模買収の打ち止めを促し、増配や自社株買いによる株主還元を求め、コストカットを要求した。