ビジネス

2020.02.07

「儲からないから、すぐ撤退」では新しい市場は創れない|JapanTaxi 川鍋一朗

JapanTaxi代表取締役社長の川鍋一朗氏

国内No1のタクシー配車サービス「JapanTaxi」アプリなど、タクシー業界のIT化を次々と推し進めるJapanTaxi。同社代表取締役社長の川鍋一朗氏はタクシー業界最大手「日本交通」の3代目として会長も務める。川鍋氏に起業家の素養や事業立ち上げのポイントなどについて聞いた(全6話)。

※本記事は2019年4月に掲載したインタビュー記事に加筆・修正を加えております。

「産業ドリブン」で事業を構想する


──新規事業の立ち上げについてお聞かせください。事業のアイディアはどのようにして考えておられますか?

事業アイディアを見つけようと努力したことはありません。自分がエキスパートである産業について深く考え続けていると、やりたいことはいくらでも出てくるものです。

特にIT業界で見られがちなのが「テクノロジードリブン」なビジネスの考え方。AIやブロックチェーンといった最新テクノロジーをどのように使うか、という切り口だけでは大きな事業構想は生まれてきません。

むしろ「産業ドリブン」で、産業の課題を見ていけば必ず事業アイディアは生まれてきます。当然ながらITテクノロジーを活用すれば改善できる課題はたくさんあるでしょう。

なので自分が立脚する産業の課題について深く考えることが、事業アイディアを生むポイントだと思います。

──新規事業のGo/No goの判断はどのようになされていますか?

まず弊社の場合は「タクシー」に事業領域を絞っています。

例えば弊社が販売しているドライブレコーダーをバス会社から買いたいと言われてもすべてお断りしています。事業領域を絞ることでリソースを分散させずに事業推進できると考えているからです。

残りの判断軸は事業を実行する「人」に対する信頼です。

正直、新規事業が成功するかどうかはやってみないとわかりません。だからこそ、事業を任せるリーダーが信頼できるかどうかが一番の判断軸になります。

信頼するかどうかは、先ほども言ったように、日々の「結果」がすべてです。過去に「結果」を積み重ねてきた「人」に賭けるのが最も確率の高い判断方法だと考えています。
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文=堀田慶介 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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