新型コロナウイルスに関する10の偽情報、「陰謀説」も

ニューヨークでも通行者が予防のためマスクを着用する姿が見られた(1月30日)(Photo by Tayfun Coskun/Anadolu Agency via Getty Images)

ニューヨーク医科大学(NYMC)で先ごろ、感染が拡大する新型コロナウイルスについての情報を共有するため、同大学の専門家や州政府・市当局の関係者らが会合を開いた。 そこでNYMCのエドワード・ハルパリン学長がまず指摘したのは、「非常に多くの偽情報が出回っている」ということだった。

「政府による陰謀とのうわさや、…中華料理店に行ってはいけないなど、中国系の市民に対する人種差別的な見方が広まっている」

とくに広く浸透しているとみられるのは、次の10のデマだ。

1. どの病原体より感染力が強い


事実とはまったく異なる。麻疹(はしか)ウイルスは、新型コロナウイルス(2019-nCoV)よりはるかに強い感染力がある。はしかが新型コロナウイルスほど急速に広まることがないように思えるのは、ただ予防接種を受けている人が多いためだ。

2. どの病原体よりも致死率が高い


ニューヨーク市衛生局の上席医療コーディネーターで医療疫学が専門のメアリー・フートによると、多くの人が新型コロナウイルスの致死率について、実際よりも相当に高いと誤解している。

現在のところ、新型コロナウイルスの致死率は約2%とみられている。一方、エボラ出血熱とマールブルグ病はおよそ50%(いずれも世界保健機関:WHOの発表による)。狂犬病は発症すればほぼ100%とされる。また、米疾病対策センター(CDC)の2017年の発表によれば、インフルエンザで死亡する人は世界全体で、年間29万1000~64万6000人に上っている。

3. 実験室で“製造”され、意図的に拡散されている


感染症が流行すると、必ず流れるのが陰謀説だ。米国の国営放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」などが運営するファクトチェック・サイト「ポリグラフ・インフォ(Polygraph.info)」が1月27日に伝えたところによると、ロシアの多数の報道機関が「中国に対する米国のバイオテロ」「米国の“薬剤師”が大量にこのウイルスを製造」などと報じている。

また、米国内では「ワクチン製造で儲けるため」の政府の陰謀といった偽情報が出回っている。
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編集=木内涼子

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