難民キャンプが持続的ではない理由
一部の難民受け入れ国における、政治的・政策的な混乱や地理的制約、適切なインフラの未整備を別にすると、難民の経済的自立への支援における大きな障害のひとつは、援助に対する依存。これは、特に難民キャンプという形で、大規模な組織または政府が資金提供し、難民のニーズを満たすサービスを提供している援助のあり方に言えることです。
援助と難民キャンプは、構造として、誰もが取り残されることなく金融サービスへアクセスできる環境を整える金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)や、金融サービスの統合の実現に向けた持続可能な方法ではなく、難民が出身国に戻ることができるようになるまでの、短期的な解決策として考えられてきました。
しかし、難民と強制移動(紛争、自然災害、飢餓、情勢不安などにより、住み慣れた故郷や仕事、教育から離れることを余儀なくされること)の問題は、改善されるどころか増加しており、支援組織や政府から援助を受けるプロセスが最適な方法ではないため、多くの難民のニーズを満たすためには、これまでよりも革新的な方法が必要になります。
本来は、難民キャンプ全体に行き渡るはずの援助が、子供、高齢者、または医療処置を必要とする難民、つまり働けないことが明らかな難民にだけ施されるという状況を想像してみてください。それは、別の環境にある同じような難民の援助に回される資金が減る、ということを意味します。
問題は、どのようにして、健康で働く意欲のある難民の力を活かし、援助を超えた難民コミュニティを構築していくのかという点です。
私たちが、難民についてその置かれている状況を耳にすると、彼らは技能を持っていない依存的な存在だと考えがちです。ここで認識すべき重要なことは、難民は、避難を余儀なくされるなる前には、それぞれが生活や仕事を持ち、責任を負っていた人々だということです。したがって、援助を超越した難民コミュニティを作るということは、車輪を再発明するような無駄な試みではないのです。なぜなら、まったく異なった状況や難民が関与していない状況、そしてより小規模なケースでは、この解決策がすでに実施されているからです。