ロシアが導入する国民監視ツール「FindFace」が米国進出の可能性

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警察用のスマートグラスも開発中


同社の技術が他のシステムと異なるのは、事前に顔画像のデータベースを使ってトレーニングをする必要がない点だ。「我々は非常に巧みなニューラルネットワークを使っている。他社のシステムの中には、人種差別的だとして批判されているものもあるが、我々の場合、そのような人種バイアスが生じる可能性は低い」とMininは話す。

アメリカ国立標準技術研究所(NIST)も、NTechLabの人間の顔や行動を検知する技術を高く評価しており、米政府が同社のシステムを導入する可能性もある。ロシア企業との提携は、セキュリティ面で問題があるかもしれないが、NTechLabは米政府と契約しているビデオ監視システム会社「Genetec」とパートナーシップを締結している。

仮に、NTechLabが米国に進出した場合、ピーター・ティールが出資するスタートアップ「ClearView」などの企業と競合することになる。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、FBI(連邦捜査局)などの政府機関がClearViewの顔認識技術を使用していると報じ、物議を醸している。

ClearViewは、フェイスブックやツイッターなどのSNSから画像を抽出し、警察の膨大なデータベースと一致する顔を見つけ出す。NTechLab の技術と似ているように思えるが、MininはClearViewに批判的だ。

「ClearViewは、顔認識技術の印象を悪くしている」と彼は話した。

NtechLabは、スマートグラスの開発も手掛けている。警察官が巡回中に同社のスマートグラスを装着すると、犯罪者の顔を認識して警告するという。NYTは、ClearViewも似た製品を開発中だと報じている。NtechLabの方が先行しているものの、同社もまだプロトタイプの段階であり、モスクワに導入するシステムには含まれていない。

「スマートグラスの実装はまだだが、技術的には実現可能であり、今後も試作品の開発を続ける」とNtechLab のコミュニケーション責任者であるNikolay Gruninは語った。

編集=上田裕資

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