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2020.02.05

新型肺炎で売上急落の中国「映画業界」、TikTokの広告収入に期待

普段は混雑している北京の商業エリアも人気がない(Kevin Frayer/Getty Images)

人口14億人を抱える中国は世界最大の映画市場の1つとして知られ、年間の映画興行収入は約92億ドル(約1兆円)とされている。新型コロナウイルスの感染拡大は、映画産業に莫大なダメージを及ぼすことになる。

中国政府は既に、現地の映画館の多くを閉鎖しており、映画スタジオの中には作品の製作の延期や中止を発表する動きも起きている。そんな中、劇場での公開を見送り、オンライン配信のみで作品を公開するスタジオも現れた。

ハリウッド・レポーターの報道によると、中国の映画製作会社「歓喜伝媒体(Huanxi Media)」は春節の注目作品として期待されたコメディシリーズ最新作「囧媽(Lost in Russia)」の劇場公開を中止し、インターネットで無料配信するという。

歓喜伝媒体はTikTokの運営元のバイトダンスと契約を結び、この作品の24時間限定のオンライン配信権を、約9000万ドル(約98億円)で売却したという。さらに2社は、無料配信から得られる広告収入をシェアする予定だ。

新型コロナウイルスの影響は映画業界に限らず、様々な分野に広がっている。上海ディズニーランドも営業を停止し、スターバックスやマクドナルド、KFCも多くの店舗を休業させている。

アップルCEOのティム・クックは、先日の決算発表の場で、新型肺炎の感染拡大の影響が、今後の同社の事業の不確定要素となると述べた。グーグルやアマゾンも既に、社員らに注意を呼びかけている。

ハリウッド・レポーター記者のMatthew Belloniはツイッターで、「昨年の中国の春節の週末の映画興行収入は約5億ドルだったが、今年はわずか200万ドル程度でしかない」と述べていた。感染拡大の影響は今後、さらに広がっていきそうだ。

編集=上田裕資

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