ビジネス

2020.02.05

【3分で解説】メルカリとドコモ、両社の提携がもたらす「5つの相乗効果」とは

提携を発表したメルカリの山田進太郎社長とNTTドコモ・吉澤和弘社長


ただ、加盟店獲得は体力勝負の様相を呈しており、多額の資金をつぎ込むPayPayが他社を圧倒している。これに対して、両社が個別に加盟店開拓をするのではなく、共同で開拓をすることで効率化し、コストを圧縮する。両社で加盟店開拓することで、さらなる利用者の拡大に繋げたい考えだ。

これに加えて、メルペイとd払い自体も共通化する。今までd払いとメルペイは個別に残高をチャージして支払いを行っていたが、この残高を連携できるようにする。例えばメルカリの売上をメルペイ残高にチャージして、d払いのキャンペーンを実施している加盟店でd払いに使う、といったことができるようになる。


お互いの残高をそれぞれ共通化することで、どちらのサービスでも決済できるようにする

5点目がデータ連携だ。dアカウントは、ドコモの携帯電話、d払いやdカードなどの決済、dポイントの利用データといった各種データを蓄積しており、これにメルカリIDの二次流通データを加えることで、より精度の高いデータ分析が可能になる、としている。これを生かして新たなFinTechサービスやマーケティング、販促といった新たな事業を創造することを目指す。

こうした情報はプライバシー性が高いが、「プライバシーに十分配慮するのは大前提」(山田社長)としつつ、両社とも高精度なデータ基盤となりうると期待する。


膨大な両社のデータ連携を連携させて新規事業開発に繋げたい考え

両社では、まずは5月をめどにID連携を進め、順次コード決済の連携などへ広げていく。ID連携では、当面は1000万IDが連携をすることを目標に掲げて、各種キャンペーンなども展開していく予定だ。


提携記念でメルカリでのd払いに最大20%還元するキャンペーンも実施。メルカリユーザーのd払い利用、d払いユーザーのメルカリ利用促進を狙う

コード決済や共通ポイントでは、合従連衡が続く。ZホールディングスとLINEの統合によるPayPay・LINE Pay連合を皮切りに、KDDIのau WALLETポイントとロイヤリティマーケティングのPontaが5月に統合。メルペイはOrigami Payを統合することになっており、そこにさらにドコモが組む形となった。


お互いの強みがうまく融合できるかどうかが鍵となるだろう

ZホールディングスとLINEの統合発表は昨年11月だが、ドコモとメルカリはその以前から新しい協業の形を模索していた、という。とはいえ、ZホールディングスとLINEの統合が今回の提携を加速させたのは間違いないだろう。

メルペイとd払いで残高や加盟店を共有化するものの、現時点でサービス統合は検討していないという。ID連携をしないユーザーも一定数出てくると見られ、それぞれの決済サービスを維持する必要性を踏まえたようだ。山田社長は「進捗を見ながらあらゆる可能性を探っていきたい」としている。

「+d戦略」として、パートナーとの協業を重視する戦略のドコモにとっては、アマゾンとの協業に続く大手ネット企業との提携。シニア層や法人にも強いドコモと、特に若年層に強いメルカリとの相乗効果を期待する。

細かい提携の内容はこれから検討するとしており、3社の提携が思惑通りの効率化と規模拡大、そして新規事業開発に繋がるか、それぞれの手腕が注目されるところだ。

文・写真=小山安博

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