ビジネス

2020.03.05

マイクロソフト、グーグル、アマゾンを経て沖縄移住。大空を仰ぎ、極める世界ビジネスとは

藤澤聡明氏(以下、写真はすべて藤澤氏提供)


世界中の同僚たちとまったく不具合なく仕事ができていた経験から、何も東京にいる必要はないと判断して、もともと好きだった沖縄に移住を決め、営業コンサルティング企業「クラウドナインワークス」を立ち上げる。主な業務内容は、新しい組織を顧客にした、営業部署の立ち上げから人材開発、営業メカニズム構築などのコンサルティングだ。

「最初の仕事として、マイクロソフト時代の仲間が立ち上げた『フィルミネーション株式会社』のボードメンバーとして参加しました。主な仕事は、営業部門のオペレーション設計や人材調達と教育、彼らを営業オペレーションに組み込んで再現性の高いメカニズムを回すといった、営業活動のマネージメントですね。そして、スタートアップの企業風土は、まさにアマゾンの14項目の行動指針(OLP)が生かせる環境です」

フィルミネーションは、ネットフリックスやHulu、アマゾンPrime Videoといった「SVOD(サブスクリプション・ビデオオンデマンド)プラットフォーム」向けに日本映画の配信権を販売する会社だ。たとえば営業リソース、煩雑な契約業務、技術的に難度の高いコンテンツ納品業務、そして言語の違いといった、いわば世界市場への進出をはばむ条件を取り除き、世界市場における日本映画のシェア向上に貢献することがターゲットだという。そして、藤澤は今ここで、アマゾンISOでやっていたことを「再現」しようとしている。

「オンラインのSNSやコミュニティを通じて、急速に成長するオンライン動画配信市場で営業戦力となりうる、映画業界の優秀な若い人材を世界中からリクルーティングしています。まさに世界中から応募がある。そこで彼らにアマゾンで培ったナレッジをベースにしたセールス・オペレーションを説明し、世界じゅうで日本の映画が紹介されるチャンスを増やしているんです。

たとえば、今は、オーストラリアにいるセールス担当者が、世界中で次々に登場する新たなオンライン動画配信の会社に、日本映画配給の営業をかけています。まさに、ISOでやってきた人材開発プログラムの設計、運用の経験がまさに役立っていますね」

沖縄で「死ぬまでに一度は行くべき」は──


そんな藤澤が沖縄に移住した理由は、「とにかく語り尽くせないほど素晴らしい場所だから」、そして、繰り返しになるが、「地球上のどこにいても仕事はできるから」だ。

「とくに気持ちの整理などが必要な時は、沖縄本島中ほどにある読谷村という村に出かけます。読谷村には『セーラの森公園』という緑のきれいな公園があったり、『渡具知ビーチ』というサンセットが最高にきれいなビーチがあったりします。『やちむんの里』という工芸村には、僕の大好きな『大嶺公房』という工房もあるんです。

それから、沖縄移住組は『島ナイチャー』っていうらしいんですが、犬を飼っている島ナイチャーのコミュニティのようなものがあって助かっています。犬関連の情報だけでなく、沖縄での生活に必要な、いろんな情報を教われるんです。夜に気晴らしにドライブに出かけることもよくあります。街灯もほとんどないような道を行くのでかなり怖いんですが、夜中に『万座毛』とか『残波岬』に出向いて星空観賞をすることもありますね」

4月頭からゴールデンウィークまで、そして梅雨明けから10月初旬までは、素潜りにも最高な八重山諸島に行くという。

「行くと朝から夕方まで、ずっと海の中にいますね。毎年同じ場所にいるクマノミの家族を見に行ったり、人慣れした海ガメと一緒に泳いだり、海のコブラと言われるクロボシウミヘビ、めちゃくちゃデカいゴマモンガラなどに遭遇して大慌てしたり、色とりどりの熱帯魚の群れと泳いだり」




波照間島のニシ浜

休暇で出かけるのは石垣島が中心で、晴れて離島への船が出れば、黒島や波照間島にも行く。とくに、人が住んでいる島で日本最南端として知られている波照間島は、一生に1回は行くべき、と藤澤は言う。

「ただ美しいというよりは、ワイルドな魅力もある。ここを訪れると、最初に海が眼下に一瞬にして広がる瞬間がある。1年に1回行っている僕でも、それを体験するたびに、その美しさに気持ちがふるえます。涙が出るほどです」


沖縄本島の「アラハビーチ」


石垣島の最北端、平久保崎の夜景(左)、石垣島の満天の星空(右)

「あとは、沖縄本島は南北に細長いので、西の海岸線が長い。だから、サンセットがとにかく美しいんです。一番いいのは、場所をちょっと変えるだけで違う夕陽が見られる。海の音を聴きながらバラエティに富んだサンセットを見るのがとにかくお勧めですね」




石垣島「バンナ公園」の展望台(上)、石垣島の離島ターミナルから見た落日(下)

かつて世界の同僚たちとディスカッションし、ベンチマークした日々から得た「地球上どこからでも最適解にたどりつける」実感と、「ゴールを共有できる仲間とつながることのできる」希望。日本を世界に発信する仕事への彼のパッションは、それらに端を発しているのかもしれない。

文・構成=石井節子

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