オフはたったの6日間? サッカー界に「働き方改革」が必要な理由

Hiroki Watanabe / Getty Images

まもなく開幕する2020シーズンを前に、日本サッカー界に衝撃が走った。1月28日に開催されたFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフで、Jリーグを代表する常勝軍団の鹿島アントラーズがメルボルン・ビクトリーFC(オーストラリア)に敗れ、ACL本大会への出場権を失ったからだ。

アントラーズは、元日に新国立競技場で開催された天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝で、ヴィッセル神戸に敗戦した。振り返ってみれば、そのあとのシーズンオフの期間もあまりに短かった。選手たちが心身を休ませ、新たな戦いへの鋭気を養ううえで、果たして十分だったのか。数年来のアントラーズのフル稼働ぶりを含めて、Jリーガーにも求められる「働き方改革」を考えてみる。

過密スケジュールの前に敗れたアントラーズ


最も長いクラブは51日、最も短いクラブはわずか6日しかない。何の数字かと言えば、まもなく開幕する2020シーズンに臨むJ118クラブのシーズンオフの日数だ。

日数をカウントするにあたっては、昨シーズンの公式戦を終えた翌日から始動日前日までを「オフ」と定義した。各クラブの公式戦終了日、始動日、オフをそれぞれ順に記すと下記のようになる。

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公式戦終了日で最も多い「12月7日」は、明治安田生命J1リーグ最終節を指す。自動昇格組の柏レイソルと横浜FCは明治安田生命J2リーグ最終節の「11月24日」で、J1参入プレーオフ決定戦に回った湘南ベルマーレは残留を決めた「2月14日」で、それぞれ昨シーズンを戦い終えた。

残る3つは、天皇杯全日本サッカー選手権大会でベスト4に勝ち残っていたクラブで、清水エスパルスは準決勝で敗退した「12月21日」を、新国立競技場の杮落としマッチとなった決勝で対戦したヴィッセル神戸と鹿島アントラーズは「2020年1月1日」をシーズン最後として、オフに入っている。

18クラブのオフを平均すると32.5日。それだけに、アントラーズの6日というのは異例の短さだ。国内の公式戦に先駆けて、1月28日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフが組まれていた日程と関係しているが、ここには複雑かつ特殊な事情が絡んでいる。

2020シーズンにおいては、昨シーズンのJ1王者と天皇杯覇者が、アジアの王者を決めるACL本大会への出場権を獲得。アントラーズは3位で一発勝負のプレーオフへの出場権をまず獲得していた。

さらに勝ち残っていた天皇杯で、アントラーズが頂点に立てばACL本大会への出場が決まり、その場合はJ1で4位だった川崎フロンターレがプレーオフへ出場することになっていた。シーズンオフの多寡を考えれば、まさに天国と地獄とを隔てる天皇杯決勝で、アントラーズはヴィッセルの前に敗れてしまったわけだ。

そして、始動から20日後に迎えたACLプレーオフでも、メルボルン・ビクトリーFCに0-1で苦杯をなめさせられた。国内3大タイトルを含めた4冠独占を掲げて臨んだ2020シーズンの初陣で、いきなりその可能性が消滅することになってしまった。

対照的に、天皇杯の優勝で、クラブ創設以来初のタイトルを獲得したヴィッセルは、J1勢で最も遅い1月22日に始動。20日間のオフを取って今月8日の横浜F・マリノスとのFUJI XEROX SUPER CUP、そして12日のジョホール・ダルル・タクジムFC(マレーシア)とのACLグループリーグ初戦に臨む。
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文=藤江直人

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