スティーブ・ジョブズの命を奪った病。彼はなぜ早期手術を拒んだのか?

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2011年、56歳という若さで亡くなったアップルの創業者スティーブ・ジョブズ

早期発見ができた場合、回復する可能性が高いとされるすい臓がんを疾病していたが、診断から9カ月も手術を受けなかった。ジョブズが手術を拒んだ理由とは一体何だったのだろう。

スティーブ・ジョブズ、56歳で死去


1955年2月24日にカリフォルニア州のサンフランシスコで生まれたジョブズ。76年4月にアップルを創業、iPadやiPhoneを生み出したことはあまりにも有名だ。ジョブズが亡くなったのは、11年10月5日、満56歳。早すぎる死に世界中が驚き、アップルストアの前には多く人が献花に訪れた。

アップルの公式サイトでも、すぐに追悼コメントが発表された。

“Apple has lost a visionary and creative genius, and the world has lost an amazing human being”(アップルは先見性とクリエイティビティある天才を失い、世界は素晴らしい人間を失いました)と、彼の死を悼んだ。

死因はすい臓がん


ジョブズの死の大きな原因とされているのは、2003年に発覚したすい臓がん。進行が緩やかな神経内分泌腫瘍であり、早期に発見・手術すれば回復する症例が多い種類のがんだった。しかし、ジョブズは診断後の9カ月間、手術を拒否し続けた。結果、肝臓への転移などがんの悪化に繋がってしまった。

手術を受けない間は、マクロビオティックや、スピリチュアリストに会いに行くことでがんを治そうとしていたという。

マクロビオティックとは、玄米を主食とした無農薬・自然農法の穀物や野菜を中心とした食生活や思想法のこと。「陰陽調和」という東洋の伝統的な世界観に基づいており、マクロビオティックの祖は、日本人の桜沢如一という人物だと言われている。

なぜ手術を受けなかったのか


ジョブズは手術を受けない理由について、「自分の体を切開されたくない」と主張していた。ジョブズは大学中退後にインドへ旅に出るなど、東洋思想の影響を大きく受けており、かねてから診断や治療が機械的である西洋の現代医学に疑問を持っていたのだという。

妻や周囲の必死の説得もあり、04年、09年に手術を受けるも11年にすい臓がんが再発。11年に56歳の若さで亡くなった。晩年には、もっと早くに手術を受けるべきだったと後悔していたという。

文=齋藤優里花 写真=gettyimages

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