今年初出展のブランドや世界のトップショコラティエの言葉から見える、チョコレート界の「いま」を紹介する。
食べる喜びを、ヘルシーな食材で
ジュリアン・アルヴァレズ氏
パリのパラスホテルでもある「ル ・ブリストルパリ」のシェフパティシエ、ジュリアン・アルヴァレズ氏は今年初めて参加したひとりだ。
「日本人は、ガストロノミーがファッションのオートクチュールのようにフランスのリュクスなカルチャーであることをよく理解しているし、日本のショコラの質はとても高い」と話す彼は、クラッシックな組み合わせにこだわらず、自由な発想での味作りを行なっており、日本の食材では「そば茶とチョコレートは、とっても、とっても、とってもよく合う」と笑顔を見せる。
ラボに揃えているチョコレートは常時20種類。「(一緒に働いているショコラティエの)ジョアンヌと60種類のチョコレートのブランインド・テイスティングをしたりと、味を中心に選んでいます」とそのセレクションを語る。
最近は、「毎日食べて欲しいからこそ、身体に良い材料を」ということに注力している。ホテルのメインダイニング「エピキュール」のデザートを作る中で、4年ほど前から、デザートの白砂糖を蜂蜜やメープルシロップに、バターの代わりにオリーブオイルやココナッツオイルを使うようになっており、その考えをチョコレートにも応用しているのだ。
1年ほど前から、白砂糖ではなく、ココナッツシュガーやモスコバド(黒糖)、甜菜糖などを使用。しかしそれらを使う理由は、「やはり味がいいから。精製された白砂糖は、ミネラルやビタミンなど、砂糖本来の味が抜けているから」だという。ヘルシー志向の波はチョコレートの世界にもやってきているようだ。