サロン・デュ・ショコラで見つけた「今年注目のチョコ」6選

フランスの「フィリップ・ベル」のベル氏


レストランで働きつつ、個人のブランドで出展



中村忠史氏

同じく今回初出展したのが、パリで活躍する日本人パティシエの中村忠史氏だ。サントノーレ通りに店を構える「ジョエル・ロブション・獺祭」のシェフパティシエも務める同氏は、去年の春、フランスの著名なレストランガイド「ルベイ」でベストペストリーシェフに選ばれるなど、その腕が高く評価されている。

フランスではレストランで働きながら、自分のブランドを持つことは普通。腕の立つシェフが独立して離れてしまうよりも、両立してもらった方が、シェフの知名度が集客にもつながり、レストランにとってのメリットが大きいと考えられるからだ。

今回のサロン・デュ・ショコラは中村氏にとって、個人ブランド「Tadashi Nakamura」のお披露目の場ともなった。「タブレットが流行っている昨今ですが、やはりエレガントなボンボンショコラにこだわりたい。16年働き続けているジョエル・ロブションの厨房で生まれたデザートの味をチョコレートに閉じ込めて、自分のアイデンティティを表現しました。チョコレートは、香港に構える自身の工房で作っていますが、いずれは日本で生産することを考えています」

 気軽に食べられるタブレット人気



フィリップ・ベルナシオン氏

フランスからは、美食の街・リヨンからも2店が出展していた。ひとつは、去年10月にパリに出店したばかりの老舗「ベルナシオン」。自家製のクーベルチュールは、メキシコやコロンビア、エクアドル、ベネズエラ、マダガスカルなど10の産地の豆を独自でブレンドして、カカオ分が異なる3種類を作っている。

「昨今、ビーン・トゥー・バーの流行で、シングルオリジンの個性のあるチョコレートが人気ですが、やはり年によって品質にばらつきがあるので、ブレンドの形をとっています」と、3代目のフィリップ・ベルナシオン氏は語る。

数年前のサロン・デュ・ショコラの際、日本限定でシグネチャーチョコレートの「パレ・ドール」をタブレットとして売り出したところ評判が良かったため、アイデアの逆輸入のような形でリヨンの本店でも展開。評判は上々で、今や定番商品になっているのだそう。

「チョコレートのトレンドは、カジュアルに、気軽に持ち運べるタブレットに移っている気がします。割って一口だけ食べることもできますよね。でも、それが一口で済まないのがタブレットのキケンな所(笑)。私も『一口だけ』と思って、いつも一枚全部食べちゃうんですよ」とベルナシオン氏。
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文・写真=仲山今日子

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