サロン・デュ・ショコラで見つけた「今年注目のチョコ」6選

フランスの「フィリップ・ベル」のベル氏


エクアドルの大地に根付いた研究者が生み出すチョコレート



高橋力氏

「ノエル・べルデ」の高橋力氏は、12年前、高級バナナで知られるエクアドルの田邊農園の副社長として同国に渡り、病虫害対策など、総合的な栽培管理を担当。農園内に研究所を設立するなど、有機栽培の研究と農園の近代化に尽力した農業のプロだ。

3年前に地元のカカオ豆と出会い、その奥深さに魅せられて自らのチョコレートブランドを設立した。エクアドルにある原種に近いチョコレート「ナショナル種」のカカオ豆を使い、現地のパートナーと共に生産したチョコレート「カミーノ・ベルデ」を、日本の飲食店に卸している。

今回は、自社商品として、エクアドルでも特定の地域にしかない固有のアリーバ種のカカオで作ったチョコレートで、同じくエクアドルにしかない、原種に近いみかん、かつて自らの手で生み出した田辺農園のバナナをコーティングした商品を販売。

エクアドルに根を下ろした暮らしと農業への理解から、カカオ豆生産者との深い信頼関係を築いているのも、希少な豆を手に入れられる理由の一つ。中でも、パッハリート種のカカオ豆は、「カンテサンス」の岸田周三シェフも惚れ込み、監修するドラマ「グランメゾン東京」の最終回でも使われた逸品だ。

また、今回のサロン・デュ・ショコラのテーマは「出会い」ということもあり、高橋氏のチョコレートを採用した最初のレストランの一つ、銀座「ティエリー・マルクス」の江藤英樹シェフのコーナーではカミーノ・ベルデと、高橋氏の実家の那須高原牧場のミルク、北海道日高町のほおずきを使った“出会いのパフェ”も提供された。


(写真右)高橋力氏(左)と江藤英樹氏(右)。両者のコラボレーションで誕生した「出会いのパフェ」(写真左)

スイーツとしてだけではなく、チョコレートの様々な切り口が垣間見えたサロン・デュ・ショコラ。会場は多くのショコラティエ同士が交流する場にもなっており、まさに「出会い」というテーマが体感できるイベントだった。

「去年11月にはNYでも初開催、また今後はチョコレートの大きなマーケットである中東3国への進出も予定している」と、サロン・デュ・ショコラ パリを主催するショコロコインターナショナルのジェラルド・パラシオ氏は今後の展望を語った。25年前にパリで始まったチョコレートの祭典は、さらに世界へと拡大していく見込みだ。

文・写真=仲山今日子

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