ただし、SAPの多様性やインクルージョンの取り組みの中心にいるのは、あくまでも人だ。世界中に10万人近くの従業員を擁し、北米だけでも約2万5000人が働くSAPには、80を超える従業員ネットワークグループがあり、2万人以上が参加している。うち4大グループは黒人、中南米系、LGBT+、性自認が女性の従業員がそれぞれ集まる。一方で退役軍人や障害者のグループも、徐々に規模を拡大している。
SAPでは以前から、神経多様性のある人材の可能性について注目してきた。これは多くの企業が遅れをとっている分野だ。同社は最近、2013年に始まった「職場での自閉症(Autism at Work)」プログラムを拡張した(米国では自閉症スペクトラムの大卒者の約90%が失業している。これに対し米国全体の失業率は3.5%だ)。SAPは外部パートナーとも協力して、神経多様性を持つ就職希望者に6週間の採用前トレーニングを提供している。修了者の約半数にあたる43.75%がSAPで有給雇用の機会を得ており、同社には現在、自閉症のある42人の従業員とインターンが働いている。
以下は、多様性施策に優れた米国の職場ランキングでトップ10に入った企業や組織。
1位 SAP
2位 ヘンリー・フォード・ヘルス・システム
3位 プロクター・アンド・ギャンブル
4位 オハイオ州立大学ウェクスナー医療センター
5位 ビザ
6位 アルティメット・ソフトウェア・グループ
7位 リーバイ・ストラウス
8位 デューク大学
9位 JLL
10位 タフツ・ヘルス・プラン