ランキング作成にあたり、従業員数1000人以上の米企業・組織で働く6万人を対象にアンケート調査を行った。今年は、注目すべき変化があった。グーグルは幹部によるセクハラ問題が取り沙汰される中、150以上も順位を落とした。また、年齢差別訴訟を起こされたIBMは217位から237位へと転落している。
企業向けソフトウエア大手SAPは昨年から8つ順位を上げ、トップに立った。2位は初登場の医療機関ヘンリー・フォード・ヘルス・システム、3位は昨年の22位から大幅に順位を上げた日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)だった。
多くの企業がデータ収集能力を駆使して消費者動向を探っているが、一方で自社内の多様性やインクルージョンを促すためにアナリティクスを使用している企業もある。SAP北米支社もそのうちの一社だ。同社はビル・マクダーモット最高経営者(CEO)が2019年に退任したことで過渡期に入ったが、多様性に対するコミットメントが揺らぐことはなかった。
「ビルはリーダーとして、当社のインクルージョンに対するコミットメントを非常に雄弁に語っていました」。SAPの人材持続可能性の責任者を務めるジュディス・ウィリアムズ最高多様性インクルージョン責任者はこう語る。「彼と取締役会は、世界で最もインクルーシブなソフトウエア企業を目指すという目標を掲げた」。そんな同社は目標へ向かって進歩を続けている。
ウィリアムズはドロップボックスやグーグルを経て、2018年9月にSAPの多様性・インクルージョン責任者へ就任。以後1年余りで、データ志向のアプローチを推進し、SAPの従業員構成に関する不十分さやギャップ、数値を使用して非効率な部分や格差を洗い出し、同社の従業員構成に関する疑問に答え、少数派社員の社内でのキャリアアップ状況を追跡、製品にインクルージョンを反映さてきた。「私は状況が数値で見えないと落ち着かないたちなので」とウィリアムズは冗談交じりに語る。「私の目標は、インクルージョンを当たり前のものにして、エクスクルージョン(除外)することの方が難しいようにすること」