ロールス・ロイスは、航空機や船舶、陸上車両向けのエンジンや推進システムで世界的に知られる英国の優良企業で、小型モジュール炉(SMR:Small Modular Reactor)企業連合を主導している。同社が1月24日に述べたところによれば、SMR企業連合は、10年以内に英国でそうした原子炉を実現し、二酸化炭素排出量の少ない電力の需要拡大に対応できると確信しているという。
SMR企業連合には、英国に拠点を置く国際的なエンジニアリング企業アラップ(ARUP)やレイン・オルーク(Laing O’Rourke)、ヌビア(Nuvia)、ウッド・グループ(Wood Group)などが加わっている。彼らは、「部材を工場であらかじめつくる発電所」を設置し、運用する計画を立てている。洋上風力発電など低コストの再生可能エネルギーに、価格という点で対抗できる発電所だ。
初期案では、英国のカンブリアやウェールズにある原子力施設の跡地にSMRを設置し、最終的には英国で10~15基の建設をめざすことが提案されている。詳細を説明してくれた広報担当者によれば、SMRの所要面積は1.5エーカー(約6070平方メートル)ほどで、さらにその周囲に10エーカーの操業用地が必要になるという。
この広さは、英国のヒンクリー・ポイント原子力発電所のおよそ15分の1にあたる。ヒンクリー・ポイントは、英国の原発セクターが力を注いでいる原発のひとつだ。
日立や東芝といった国際的な原発ソリューション開発企業が困難に直面するなか、SMR企業連合であれば経済的にやっていけるとロールス・ロイスは主張している。
提唱されているアイデアは、「高度なデジタル溶接手法とロボットによる組み立て」を用いてプレハブ式の部品をつくってから、現場に出荷してボルト締めするというものだ。この方法なら、コストと安全面の予測や管理がしやすくなるという。