当面の影響の一部は経済的なものであり、今後は中小企業に深刻なダメージが広がる恐れがある。一方で、より長期的なリスクもある。一つは、米国が多くの薬について、有効成分を中国(とインド)からの輸入に頼っていることに絡むものだ。多くの人と同様、筆者も、これは国の安全保障に関わる問題だと懸念してきた。
セルは、中国から広がっている新型コロナウイルスと結びつけた外国人嫌悪や偏見に懸念を示しつつ、政策決定の参考にできるように、感染者数や重症化率などに関する情報がもっと必要だと強調している。また、人々が新型コロナウイルスによる肺炎の実際の影響よりも、恐れから行動しないように、恐怖心をかき立てるようなまねは避けたいとも述べている。
では、新型コロナウイルスのニュースで、おどろおどろしい見出しを目にしたような場合に備えて、どんなことを心に留めておけばよいか。現時点で分かっていることから判断すると、新型コロナウイルスがうつるには密接な接触が必要で、ウイルスは主に飛沫を通じて広がっているようだ。また、ウイルスに汚染されたものの表面への接触も感染原因になっている可能性がある。
こうした点に加え、米国では新型コロナウイルスへの感染で死亡する可能性がある人の数よりも、はるかに多くの人がインフルエンザで亡くなっている事実も覚えておいたほうがよいだろう。「カイザー・ヘルス・ニュース(Kaiser Health News)」にリズ・セイボーが書いている通り、米疾病対策センター(CDC)によれば、米国ではこの冬に少なくとも1300万人がインフルエンザにかかり、12万人が入院、6600人が死亡している。
新型コロナウイルスにせよ、インフルエンザにせよ、ウイルスから自分を守るいちばんの方法は、せきやくしゃみをしている人を避けること、そして、ウイルスが鼻や口や目から入らないように、手で自分の顔を触らないことだ。
表面が汚染されている可能性があるものに触れた後は、必ず手を洗うこと。また、蛇口やバスルームのドアを開け閉めする際には、必ずペーパータオルなどを用いて直接触れないようにすること。その後、除菌ローションで手の殺菌をすることも忘れてはいけない。
手を洗った後、素手で蛇口を閉めると、手に菌が付いてしまう。正しい手洗いの仕方を知ることが、多くの感染病を避ける鍵になる。
科学に基づくものでも、合理的なものでもない渡航制限が、早急に撤回されることを望みたい。それを放置すれば、今回の流行による損失はさらに膨らむことになるだろう。