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2020.02.04

アディダスがプラスチックごみ再生素材で挑む、海洋環境保護

アディダスUltraBOOSTパーレイ・リミテッド・エディション・スニーカー(2018年6月)(Photo by Neilson Barnard/Getty Images for adidas)


だが同社としては、製品に100%再生ポリエステルを使用することを支持するだけではなく、サプライチェーン全体に、持続可能な取り組みをこれまで以上に導入していく必要がある。そこでアディダスでは、自社製品を100%リサイクル可能にする技術の開発に取り組んでいる。たとえば、ランニングシューズ「Futurecraft.Loop」などだ。その一環として、使用済みの製品がきちんとリサイクルおよびリメイクされるように、回収システムを改善する必要があるとカーンズは指摘する。

ひとつの製品でリサイクル・ループがうまくいったら、アディダスは、100%生分解可能なオプションが提供できるよう、素材メーカーとの提携も視野にして責任を持てるようにしたいと考えている、とカーンズは述べる。

「当社製品は、再生素材を使い、リメイクや生分解を可能にする戦略があるということを、人々に知ってもらえるようにしていく」とカーンズは述べる。

この取り組みのなかで2020年に注目されているのが、プライムブルーとプライムグリーンの新たな製品だ。5月に改めてローンチされるプライムブルーは、海岸や海沿いの地域で、海に流入する前に回収されたプラスチックごみからできる再生ポリエステルでつくった製品群だ。

一方、6月にプライムグリーンの名前でデビューする製品群は、100%再生ポリエステル製である点が特徴だ。カーンズによれば、これらの製品ラインで使用するポリエステルの「全てがリサイクルされることになる」という。

今後サッカーやランニング、アウトドアやテニス、それにスポンサーが付いたハイレベルな各種チームやリーグが皆、プライムブルーやプライムグリーンの製品ラインを使用するようになるかもしれない。マイアミ大学は、アディダスとパーレイが提携した製品の主要なパートナーのひとつだ。「素晴らしいのは、我々はこうしたプロジェクトを、非常に高性能な製品によって実現できるということだ」とカーンズは言う。

パーレイと協力することで、アディダスは同じような志向性を持つ企業や組織との関係を築くことができるが、パーレイとの提携は、アディダスの取り組みの正当性を維持する上でも役立っているとカーンズは言う。マイアミの高校のフットボール場のように、これまでにはなかったチャンスにも道が開ける。アディダスは人工芝のサプライヤーではないが、自社製品に取り組むことによって、ほかの組織の関心を惹き始めている。そして、エジソン高校のフットボール場づくりを実現させるために、パーレイの製品を売ることができたとカーンズは指摘する。

パーレイとの提携にかかわらず、アディダスは、こうしたリサイクルの取り組みを自分たちだけで独占したいとは考えていない。「我々は、プラスの影響を及ぼすチャンスを提供したい」とカーンズは言う。「パーレイは、再生ポリエステルだけではなく、海洋汚染を回避するための解決法にも関心を持っており、多くの人と接触してきている」

プラスチックのリサイクルはアディダスの取り組みの一部だが、プラスチックが海に流入しないようにできればさらにいい。そして、それを誰がやるかは関係ないのだ。

翻訳=森美歩/ガリレオ

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