「10分動画」でストリーミング業界に殴り込む。Quibiが話題沸騰

CES2020で登壇するQuibi最高技術責任者Rob Post(Photo by Denise Truscello/Getty Images for Quibi)

2月2日、米国で開催されたNFLの王者決定戦「スーパーボウル」のCMで注目を集めたのが、動画ストリーミング業界の新勢力として期待の「Quibi(クイビィ)」だ。

QuibiはネットフリックスやDisney+らが覇権を固めつつあるストリーミング分野に、全く新しいアプローチで参入する。同社を設立したのは、2017年11月までヒューレット・パッカードのCEOを務めた、米国テック界No1の女性富豪と呼ばれるメグ・ホイットマンだ。Quibiの取締役会には、映画監督のスティーブン・スピルバーグなどの大物が顔を揃えている。


CES2020でQuibi創業者Jeffrey Katzenbergとともに登壇するメグ・ホイットマン(Photo by Denise Truscello/Getty Images for Quibi)

Quibiは今年のCESで、4月のサービス開始を宣言。スマートフォンでの視聴を前提にした「最高のハリウッドスタイルの動画を10分以内の“bite-sized”(一口サイズ)のフォーマットで提供する」とアナウンスした。

ストリーミング業界では2009年にHuluが、スーパーボウルでCMをオンエアして認知度を高めたが、Quibiも今年のNFL王者決定戦でCMを放映した。

同社の30秒間のCMはパンダのマスクをした3人組の銀行強盗が、現場から逃げようとする場面から始まる。逃走用の車に乗った仲間が居ないことに気づいた犯人の一人が、仲間に連絡をとり「マイク、一体どこに居るんだ?」と問いかける。

「ちょっと待ってくれ。今、Quibiを見てるから」と車の中の仲間が話す。
「なんだって?」
「Quibiだよ。10分もかからないから」

そして画面には次のような文言が浮かぶ。「全エピソードが10分以内。一口サイズだけど、ビッグなストーリー」

4月6日に始まるQuibiは、モバイルでの視聴を前提としている。メグ・ホイットマンはこのプラットフォームが全く新しいエンタメの世界を切り開くと述べている。

同社は既に、10億ドル(約1085億円)以上の資金を投じ、8500以上のオリジナルコンテンツを制作すると発表済みだ。QuibiはiPhoneおよびアンドロイドに対応し、料金は広告つきが月額4.99ドル、広告なしは7.99ドルとされる。スマホを縦にした状態で、自然な動画が視聴できる点も売りとされている。

「Quibiが実現するのは、ハリウッドの最高のコンテンツと、シリコンバレーの最高のテクノロジーが融合した世界だ」とCEOのホイットマンは先日のプレゼンで述べていた。

編集=上田裕資

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