自動運転車は「悪徳ドライバーの妨害」にどう対処すべきか?

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米国のアリゾナ州でロボットタクシーサービスの試験運行を実施中の「ウェイモ」は1月30日、同社のミニバン「パシフィカ」が公道上で接触事故に巻き込まれたと発表した。同社によると、この事故で車両に乗っていた人間のセーフティドライバーが軽傷を負ったという。

一部の報道では、ウェイモの車両の前方に他の車両が強引な割り込みをした結果、接触事故が発生したとされている。ウェイモによると、車両は自動運転モードがオフの状態で、セーフティドライバーがマニュアルで運転し、アリゾナ州チャンドラーの施設に向かう途中だったという。また、ロボットタクシーに乗客は載せていなかった模様だ。

ここで興味深いのは、事故原因を作った車両のドライバーが、故意に乱暴な運転をしたと報告されている点だ。問題の運転者は恐らく、ウェイモの車両が自動運転で走行中であると考え、その走行を妨害しようとしたものと考えられる。

意地悪なドライバーが、自動運転車にいたずらをしかけるという事態は以前から想定されてきた。現状では自動運転車の大半には、人間のセーフティドライバーが同乗しているため、緊急時には人間が対応を行うことになる。

しかし、自動運転テクノロジーが完成に近づくにつれて、人間が同乗しない完全自動運転の車両が公道を走り回ることになる。完全な自動運転車の場合は、システムが妨害を検知し、適切な対応を行うだろう。

自動運転車は事故を避けるため、妨害を受けた際には減速する、もしくは停止するなどの対応を行うことになる。

これは安全な自動運転のオペレーションを実現する上では当然の措置だが、今後問題となるのは、自動運転車の保守的な動きを当然と考える人間のドライバーが将来的に増加し、故意の割り込みや事故につながりかねない乱暴な運転を行うケースが増えた場合、どのような対応を行うべきかだ。

無理な割り込み等は道路交通法に違反する行為であり、ウェイモは事故の再発防止に向けて、問題行為を行うドライバーを厳しく罰するよう求めるかもしれない。しかし、それが果たしてどこまで効力を発揮するかは疑問だ。

ウェイモは先日、米国の運送大手UPSと組んで、自動運転による貨物の配送サービスの実験を進めるとアナウンスした。貨物の配送の場合、ロボットタクシーサービスに比べて乗客の安全性に気を配る必要性はないが、同社はこの領域においても同じ悩みに直面することになりそうだ。

編集=上田裕資

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