ディズニーが買収したHuluのCEOが退任、「経営合理化」鮮明に

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昨年5月、米ウォルト・ディズニーは動画ストリーミング「Hulu」の経営権を取得したが、それから1年足らずでHuluのCEOが同社を去ることになった。

ディズニーは1月31日、HuluのCEOのランディー・フリアーが退任すると発表した。ディズニーは昨年11月に立ち上げた「Disney+」を軸にストリーミング事業の統合化を進めようとしている。同社はHuluに加え、スポーツ配信の「ESPN+」も運営中だ。フリアーの後任は発表されなかった。

Foxテレビの取締役を長年務めたフリアーが、HuluのCEOに任命されたのは2017年10月だった。同年にHuluはオリジナルドラマの「侍女の物語(The Handmaid’s Tale)」を大ヒットさせ、契約者数を前年比40%増の1700万人まで伸ばしていた。

その後も、9.11テロを題材としたドキュメンタリー作品「倒壊する巨塔(The Looming Tower)」や、ティーン向けのドラマ「マーベル ランナウェイズ」、黒人の若者にフォーカスしたドキュメンタリー映画「Minding the Gap」などのヒットで、Hulu の米国の加入者は2900万人に達している。

ディズニーは昨年、21世紀フォックスを買収したのに続き、5月にHuluを完全子会社化した。2007年のHulu設立には、ディズニーとコムキャストに加えて、21世紀フォックスとタイムワーナー(現在はAT&T傘下のワーナーメディア)の大手4社が参加した。その後、AT&Tが約1割の保有株を放出したため、ディズニーのHuluへの出資比率は7割に近づいていた。

Huluはその後、ディズニーが鳴り物入りで立ち上げたDisney+や、ESPN+を補完する位置づけとなっていたが、Disney+が本格的に始動した今、ディズニーの経営陣はHuluのオペレーションをDisney+に取り込もうとしている。

関係筋によると、Huluの幹部の多くは現在、ディズニーの指揮下にあり、CEOのフリアーが果たす役割は減少していたという。ディズニーがストリーミング事業を合理化し、コスト削減に向かうのは必然の流れだ。Huluのサービスは今後も継続するという。

「Disney+の立ち上げが無事完了した今、当社はこの分野の事業のコストを見直しつつ、スケールさせていく」と、ディズニーのコンシューマ部門のKevin Mayerは述べた。

「Huluが抱える優秀な人材とリソースを既存事業と一体化させ、米国以外での事業を効率的に拡大していく」とMayerは続けた。

編集=上田裕資

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