環境意識の高い女性が選ぶ「かぎ針編みタンポン」のリスク

Victoria Nesterova / shutterstock.com

ここ数年、ミレニアル世代以下の若者たちを中心に、DIY(do-it-yourself:自分で作る)の人気が復活している。以前であれば“がらくた”として廃棄されていたような品物を“アップサイクル”(リサイクルを通じて品物の価値を高める)することが、ますます多くの人たちに受け入れられるようになっている。より多くの人たちが、環境問題に関心を持つようになっているのだ。

だが、それでもやはり店で買うべき品物があることは言うまでもない。たとえば、タンポンなどの生理用品がその例だ。意外に思う人もいるかもしれないが、米国ではタンポンは“医療機器”とされており、食品医薬品局(FDA)の規制対象となっている。

この規制に基づき、メーカーは製品についての安全性評価を行い、結果をFDAに報告しなければならない。評価項目には、強度、構造、吸収力などが含まれる。重要なのは、有害な細菌の増殖を促すことはないか、膣内の細菌の正常なバランスに影響を及ぼすことはないかという点だ。

自らを危険にさらす女性たち


だが、少数ながら、こうしたことに関心がないとみられる人たちもいる。DIYを好み、かぎ針編みでタンポンを作る人たちだ。当然ながら、自分で編んだり、誰かが編んでネット販売したりするタンポンは、店で販売される商品のように安全性基準をクリアする必要はない。

FDAが安全性基準を設けていることには、正当な理由がある。かぎ針編みのタンポンのほか生理に関連するさまざまな事柄について取り上げた著書「The Vagina Bible(膣のバイブル)」を出版したばかりの婦人科のジェン・ガンター医師は、かぎ針編みのタンポンについてこう指摘する。

「まったく試験が行われていない。毒素性ショック症候群や、毒素との関連性がある細菌の増殖にどのように影響を及ぼすか、適切な洗浄方法はどのようなものかなどについて、何もわかっていない」

毒素性ショック症候群(TSS)は、黄色ブドウ球菌またはレンサ球菌によって産生される毒素が原因で起こり、死に至ることもある。TSSの症例は1920年代から報告されており、米国では1979~80年に1365人の女性が発症している。発症例が急増したのは、長時間の使用が可能で、危険な細菌の増殖が可能になる高吸水性のタンポンが発売されたことと関連がある。
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編集=木内涼子

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