「睡眠」をアップデート


それでもショートスリーパーにほのかな憧れを抱くのは、睡眠の問題が直接的に見えづらいことにあります。

例えば、睡眠時間を削ったとしても、すぐに身体に支障が出るわけではありません。人間の身体は様々な器官が器用に連携しているため、睡眠時間を削って問題があったとしても、各器官が補い合い、すぐに痛みや見た目に表れません。そして、数年が経過した後に取り返しのつかない状態になることが多いのです。

では、高級な寝具を使えば睡眠時間が短くても……と考える人もいるかもしれませんが、決してそうとは限りませんし、酸素カプセルを使えば効率的な休息がとれて睡眠時間が短縮できるかといえば、それも、いつでも誰にでも効果があるというわけではありません。寝具は睡眠の状態を決めるいち要素でしかありませんし、睡眠には酸素濃度だけでは補えない大切な役割が存在します。

睡眠は人間のみならず生物にとって必須の行動であり、眠らない生物はいません。つまり、睡眠は万人に共通の課題です。“労働時間の長さ”から“生産性の高さ”に指標が変わる中で、個々のその行為をどのように尊重し、社会に還元させていくか、もっと考えていく必要があります。

連載:「睡眠」をアップデート
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文=小林孝徳

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