伝統音楽を世界のダンスフロアへ。ナイロビのDJが仕掛ける「次世代のリミックス」

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グローバル・アフリカンなバランス感覚


筆者は数年にわたり、ファッションやアートを中心に、ナイロビなどアフリカの都市の若者が牽引するクリエイティブ業界の動向に注目しているが、彼らクリエイターたちは、「アフリカらしさ」のアイデンティティを追求すると同時に、グローバル市民としての視野と意識を強く持っているように感じる。

ディランやスラージュの音楽活動もグローバルだ。「欧米的な音楽とケニアの音楽をうまくミックスすること。そのバランス感覚がとても重要」とスラージュ。「コンテンポラリー」と自ら表現するそのサウンドは、ともすると単調にもなりがちなエレクトロニック音楽に括れない違和感があり、1年ほど前に初めて聞いた時から、個人的に「フレッシュだ」と感じていた。



「サウンズ・オブ・ササーブ」のプロジェクトは、シンガポールや香港などアジアの音楽イベントにも招待され、ツアーが決定している。今後もシリーズとして続ける予定で、ケニアを中心に様々な民族の音楽を取り扱う。

タンザニアのザンジバルにあるロッジとも連携が決まっているほか、将来的にはアフリカ全土に展開していく構想だ。グローバルな視野と自分たちのコミュニティへの貢献意識というバランス感覚を持ったミディ・マインズ・ケニアのこれからの事業展開から、今後とも目が離せない。


ミディ・マインズ・ケニア(Midi Minds Kenya)のスラージュ・マンダヴィア(左)とディラン・セジュパル(右)

連載:旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」
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文=MAKI NAKATA

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