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旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」


プロジェクト開始にあたっては、コミュニティの理解を得るためにサンブル郡のロッジとパートナーを結んだ。プロジェクトの「ササーブ(Sasaab)」という名前は、ロッジの名前でもある。

ロッジは、地域の民族の土地を借り、コミュニティと共存しながら運営しているため、すでに地域との信頼関係がある。さらには学校などのインフラ作りに対して、外部からの資金調達や資金運営をしてきた実績もある。地域との信頼関係の基盤がなかったミディ・マインズ・ケニアにとっては、絶好のパートナーとなった。

レコーディングや映像制作など、基本的なプロジェクト費用は自己資金で賄ったが、ロッジの協力があってこそ実現したプロジェクトでもある。アルバム完成後はサンブル民族のもとに戻り、リスニングパーティーを開催。アルバムや楽曲で得た収益は、地域の学校建設と運営の資金として還元される。



変化する大都会ナイロビと音楽シーン


「ナイロビは大都会ですね」。初めてナイロビに来た日本人のこういったコメントを見聞きすることは少なくない。

これだけインターネット上に情報が溢れていても、ナイロビを始めとするアフリカの大都市が、東京と同じぐらい、もしくは東京以上にグローバルで、多様な人々が行き交い、モノやサービスが流通していることは、現地に来て初めて実感値として納得するケースが多いようだ。

ナイロビは、数カ月離れただけでも、空港がどんどん拡大し、空港と都市を結ぶモンバサ通りの景観が変わる。「ダウンタウン」にあったはずのオフィス街は、ウェストランドやアッパーヒルといった近隣地区に進出している。街には新しいデリバリーサービスが現れ、次々増えるショッピングモールではグローバルブランドが店舗展開を仕掛ける。

音楽シーンも動きが早い。「ナイロビの人たちは、新しいハコができるとそこに集中して、ほとぼりが冷めるとそこからは一気に人がいなくなってしまう。DJ側としては、いくつかの場所と長期的な関係性を作っていけるのが理想」とスラージュは言う。興亡の激しい音楽ヴェニューの中で、「アルケミスト(Alchemist)」や「テンプル(Temple)」といった場所は安定的な人気を保っている。


Dylan-Sことディラン・セジュパル

アルケミストは駐在の外国人も多く集まるナイロビの繁華街の一つ、ウェストランド地区にある多目的スペースだ。2016年の年明けとともにオープンして以来、変化をしながら存続している場所で、屋根付きのオープンエアな空間にフードトラック、ケニアブランドを扱う店、カフェ、バーが集まり、平日夜は映画上映やオープンマイク、週末はクラブイベントなどが開催される。

文=MAKI NAKATA

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