旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

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「ケニアの音楽シーンは多様化している。その中でも自分たちは他の人とは違うことをやろうとしている」

こう話すのは、今ナイロビで最も人気のある若手DJの一人であるSURAJことスラージュ・マンダヴィア(Suraj Mandavia)だ。彼は、同じ志を持つDJ仲間のDylan-Sことディラン・セジュパル(Dylan Sejpal)、Foozakことアカーシュ・パテル(Akaash Patel)と共にミディ・マインズ・ケニア(Midi Minds Kenya)という会社を立ち上げ、ケニアの音楽業界の発展に不可欠な教育と、創作の機会創出に取り組んでいる。

彼らが仕掛けた最新プロジェクトが、ケニアのサンブル民族の伝統音楽と、最先端のエレクトロニクスを組み合わせてプロデュースしたアルバム「サウンズ・オブ・ササーブ(Sounds of Sasaab)」だ。

ただの「サンプリング」ではない


2017年から構想を始めたという「サウンズ・オブ・ササーブ」プロジェクトは、2018年に本格的に始動して、2019年の11月に同名のアルバムをリリースした。

ナイロビ北部、ケニアのほぼ真ん中に位置するサンブル郡に住む、サンブル民族が伝統的に受け継いできたヴォーカル音楽を12曲、5日間かけて現地で録音。その音源を使って、ケニアや南アフリカ、イタリア、スイスなどで活躍する16人のDJがそれぞれ作曲。さらに3人の楽曲も含めた19のトラックを集めたコンピレーションアルバムだ。

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全楽曲スポティファイやApple Musicなどでの視聴・購入が可能

ディランによると、これまでも地方の民族の音楽をレコーディングしたりサンプリングしたりするという事例はあったが、その結果完成した音楽や利益が、そうした民族やコミュニティに戻ってくることはなかったという。だからこそ、彼らのプロジェクトでは、コラボレーションで得たものが地域に還元されるようなスキーム作りにこだわる。

文=MAKI NAKATA

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