フォーブス ジャパン コミュニティプロデューサー


「救命胴衣」としてのビジネススキル




なぜそもそも高校生たちは、ビジネススキルを学ばないといけないのだろうか。

「こういう教育を受けていれば、生きる上での『救命胴衣』になるのではないか、と思っています。ゴール地点まで連れて行ってくれる『救命ボート』にはなりません。しかし、その場でストンと沈んでしまうことはないでしょう。命は繋いでくれると思います」

ますます人材の流動性は加速し、働き方改革に伴い、自由な雇用形態が増えている。時代の波に飲み込まれないために、そして自分の思い通りに人生を送れるように、「救命胴衣」はいつか必要になる時が来るだろう。84歳の曽我は誰よりも未来を読み、行動にうつしていた。その思いは、しっかりとDECA JAPANに参加した26人の学生たちに届いているだろう。

受験以外の世界



優勝したチーム、左から岡田晃征、野口駿、矢島弘奈(写真=井土亜梨沙)

最後に優勝したチームのメンバーに話を聞いた。優勝したチームは「髪を乾かす間は何もできないという問題を解決する、ハンズフリードライヤー」を発表した。メンバーの岡田晃征、野口駿、矢島弘奈は全く別の高校に通っている。岡田は奈良出身だ。3人はもともと起業や海外に興味があり、自らネットでDECAを調べたという。1月の中旬に初めて出会い、26人の中から自分たちでチームメンバーを決めた。

「朝が全員弱い」という共通点から、ドライヤーの時間を省けないかとアイデアがでた。インスタグラムなどを使い、友達も含めて100人ほどからヒアリングした上で実際にどれくらいのニーズがあるのかを調べた。ニーズの聞き込みを徹底したこのチームが優勝を勝ち取った。

DECAに参加してよかったか、と聞くとメンバーの1人である矢島は「学校の友だちと過ごすのも楽しいですが、世界は限られてしまいます。DECAに参加したことでより広い世界に触れることができ、自分も外に意識を向けることができました」と答えた。尊敬する起業家を聞くと、マーク・ザッカーバーグ、前澤友作、と並び曽我弘の名前もあがった。

いま日本の多くの高校生にとって、目指す先は受験の合格だ。しかし、そこに選択肢が増えれば彼らにより多くの可能性を提示できるのではないか。アメリカの舞台に日本人が参加することも大切だ。しかし、DECAを始めとした新たな才能を発掘するビジネスコンテストが日本の高校生の舞台のひとつになることも、彼らにとって大きな意味を持つことなのではないだろうか。

文=井土亜梨沙、写真=一般社団法人カピオンエデュケーションズ

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