米国人の大学教育に対する評価、ここ6年で大幅に低下

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大学教育が「非常に重要」だと考える米国人の割合は現在、わずか半数となっている。70%が非常に重要と答えた2013年から比べると、大幅な減少だ。さらに、成人の13%が高等教育を「そこまで重要ではない」と考えている。これは2013年の6%から2倍以上の増加だ。

これは、調査会社ギャラップが先日公表した米世論調査の結果だ。ここ1年の間、高等教育の公平性や費用、全体的な状況にまつわるネガティブなニュースへの対応に苦慮してきた業界関係者らにとって、身震いするような結果であることは間違いない。

世論調査は、2019年6月3~30日の期間で2033人の成人を対象に行われた。誤差はプラスマイナス3%。以下に、特記すべきグループ間の違いを紹介する。

・年齢

高等教育を肯定的にとらえる割合が最も顕著に減少していたのが若者世代で、低下幅は33ポイントに上った。高等教育が「非常に重要」だと考えている人は18~29歳の成人でわずか41%だったのに対し、30~48歳では51%、50~64歳では55%、65歳以上では55%だった。

・性別

ギャラップによる過去の世論調査と同様、女性は男性に比べ大学教育が非常に重要だと考える割合が高かった(女性は57%、男性は45%)。この割合は2013年には女性で75%、男性で65%だった。

・人種・民族

大学教育は非常に重要と答える人の割合は、白人(44%)よりも黒人(65%)やヒスパニック系(66%)の方が多かった。ギャラップが2013年に行った調査の結果でも似たような結果が出ている。

・支持政党

大学教育が非常に重要だと答えた共和党支持者は半数に届かず(41%)、民主党支持者(62%)や無党派(50%)と比べかなり少なかった。ギャラップは「大学教育が非常に重要だと答える割合は、全ての主要政党支持層で2013年から減少している」とまとめている。この割合は2013年、共和党支持者で68%、無党派で62%、民主党で83%だった。

高等教育についてはここ最近、その価値に対する信頼の低下や、米大学の評価をめぐる政党間の分裂、入学条件や学資援助の分配方法などのあらゆる面での公平性に対する厳しい批判が取り沙汰されてきた。

大学進学の経済的メリットは今も大きいし、高等教育推進が着実な公共の利益につながっていることは示されているが、こうした点が一部大学でのスキャンダルや高等教育をめぐる不安の増加といった否定的なニュースによってかき消される傾向が強まっている。中でも特に憂慮すべきなのは、本来なら高等教育が第一に力づけ、励まさなければならない若者たちが、こうした悪いニュースに最も感化されているということだ。

編集=遠藤宗生

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