ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

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全米に1万3000軒の店があり、年間約8500億円も消費されているアメリカのドーナツだが、いま、この文化に異変が起こり始めている。

昭和生まれの筆者は、ドーナツとはおやつに食べるものと信じて疑わなかったが、20年以上前にアメリカに来て、アメリカ人がドーナツを朝食に食べ、昼の時間を超えると、ほぼ食べることはないということに気がついたときには、とても驚いた。

アメリカに住むようになった初めての年、お世話になった方々への年末の挨拶のつもりで、午後3時のおやつ時間に、ラスベガスの街を東西南北走ってドーナツを配って回った経験がある。しかし、今から振り返れば、相手には「ははあ、オフィスでの残りを持ってきたな」と思われていたに違いない。こちらに来てから数え切れないくらいやらかしてきた筆者の失敗の1つだ。

今回、試しに日本のクリスピークリームとミスタードーナツのウェブサイトを見てみたが、アメリカのように朝6時から開いているような店は見当たらなかった。一方で、夜の11時まで営業している店があるなど、やはり日本人にとっては、昼以降のおやつやデザートとしての扱いが主流なのだと思った。

「ドーナツの首都」はロサンゼルス


アメリカでのドーナツは、移民の人たちにより、17世紀にオランダ領ニューアムステルダム(いまのニューヨーク)に伝わり、そこから広まったと言われている。いまのようにリング状になったのは19世紀の中頃からで、それからずっと「国民食」として、アメリカの人たちに愛されてきた。

つまり発祥の地はニューヨークらしいが、CNNやその他のサイトの情報を総合すると、今日、アメリカでの「ドーナツの首都」は、ロサンゼルスということで定着しているようだ。

確かに、最先端の流行りのドーナツ店は、LAで数多く生まれている。筆者がアメリカに住み始めた20年以上前は、ドーナツ店は早朝に店を開けて、夕方までには店を閉めるという営業スタイルだったのが、最近では夜になっても営業している店が多くなった。

その原因には、おそらく店で出すコーヒーの質の向上があると見ている。いわゆる日本の喫茶店のような店がなかった国に、スターバックスが良質のコーヒーを供してカフェ文化をつくり、あっという間に全米に広まった。コーヒーが美味しくなれば、それに最高に合う食べもの、つまりドーナツが必然的に市民権を拡大してきたという構図に違いない。

それまでアメリカの人たちの朝は、アメリカンコーヒーとドーナツから始まっていたが、カフェ文化の浸透とともに夜遅くまでコーヒーが飲まれるようになり、自然とドーナツ店の営業時間も伸び、種類も増えてきたという感じだろうか。

文=長野 慶太

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