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2020.01.31

コカ・コーラがPETボトルを全廃しない理由

Getty Images

コカ・コーラが、プラスチックボトルの使用をやめるつもりはないという姿勢を示した。プラスチックボトルを好む消費者が多いというのがその理由だ。

2020年1月に開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に出席した同社幹部は、コカ・コーラは今後もプラスチックボトルを使い続けると述べた。ただし、2030年までにパッケージの50%をリサイクル素材に切り替える計画はあるという。

プラスチックボトルを使いたがる消費者

コカ・コーラのシニアバイスプレジデントで、最高コミュニケーション責任者(CCO)ならびに最高持続可能性(サステナビリティ)責任者(CSO)を務めるベア・ペレス(Bea Perez)はBBCに対し、以下のように述べた。「消費者が求めるものに合わせなければ、ビジネスが立ち行かなくなる。従って私たちは、ボトルのインフラに修正を加え、リサイクルや革新的技術を導入するとともに、消費者に対してどのような選択肢があるのかを示す必要がある。消費者は、私たちとともに変わっていくだろう」

ぺレスは、消費者の要求を理由に、コカ・コーラは当面、プラスチックボトルを使用していくと述べた。近い将来、使い捨てプラスチックを排除するという計画も公表されていない。しかし2030年までに、商品パッケージの50%をリサイクル素材にしていく予定だという。

プラスチックからの脱却

世界の環境保護団体などが参加する「ブレイク・フリー・フロム・プラスチック(BFFP:Break Free From Plastic)」がまとめた報告書から、世界で最もプラスチックごみを排出している企業は、コカ・コーラ、ネスレ、ペプシであることが明らかになった。この報告書は、50カ国以上で実施された清掃活動で収集されたデータがもととなっている。

脱焼却グローバル連合(GAIA:Global Alliance for Incinerator Alternatives)のアメリカ担当コーディネーター、デニス・パテル(Denise Patel)は、以下のように述べた。「コカ・コーラ、ネスレ、ペプシのようなブランドが大量製造している商品やパッケージが、私たちのリサイクルシステムを台無しにしている。中国は、アメリカをはじめとした国々からの『リサイクルごみ』の輸入を事実上、禁止した。それに続き、他国も同様の措置を導入している。プラスチックは世界各地の焼却炉で燃やされ、周辺住民を有毒な環境汚染にさらしている」

BFFPは、プラスチックによる公害問題を解決するには、リサイクルだけでは不十分だと強調する。それよりも、企業は使い捨てプラスチック製品への依存をやめるべきだという。しかし、プラスチックは便利で軽く安価であるため、消費者の需要は依然として高く、コカ・コーラなどの企業はそれを意識している。

使い捨てプラスチックの使用を禁止する都市や国が増えるにつれて、企業も改善を迫られることになるだろう。シアトルなどの都市では、プラスチック製ストローがすでに禁止された。

レジ袋については、カリフォルニア州では2014年に、ニューヨーク州では2019年に禁止された。ハワイ州でも、2020年に入ってから一部の地域で禁止された。一方、インドは2022年までに使い捨てプラスチックを全廃する予定だ。

いずれは、不要とみなされる使い捨てプラスチックは、どのようなタイプであろうと禁止されるようになるかもしれない。そうした規制が実施されれば、企業は代替案を見つけるしかなくなるだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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