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2020.02.03

会員企業70社以上、若手が動かす「五反田バレー」の未来予想図

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先日、ずっと気になっていた「五反田バレー」を訪れた。日本のイノベーションエコシステムの新たな担い手として、いま注目を集めている五反田バレーとはどんな場所なのか。この地をベースに成長するスタートアップの経営者たちから話を聞き、その未来への可能性をまとめてみた。

五反田バレーとは、2018年7月に設立された一般社団法人だ。五反田という街を中心に、そこで生まれたスタートアップが社会課題を解決し、より豊かな未来を持続的に創っていけるようなエコシステムの構築を目指して立ち上げられた。

五反田バレーの活動目的は、以下の3つが主なものだ。

1つ目は、五反田のブランドイメージの向上。五反田はもともと「歓楽街」というイメージが強いが、五反田バレーの活動を通して、「五反田=スタートアップの集積地」というブランドイメージを定着させ、外部の人たちの興味喚起を促す。

2つ目は、社会問題の解決に向けた共創。スタートアップには「社会にある大きな課題を解決する」という定義があり、五反田バレー内の各社がさまざまな課題に向き合っている。五反田バレーという1つの集合体を形成することで、各社のナレッジや経験を集めて蓄積し、1社だけでは生み出せない新しい解決法を導き出す。

3つ目は、イノベーションを生み出すハブになること。これまで、五反田にオフィスを構えるスタートアップに対して、「何かを一緒にやりたい」と連絡があった際に、先方とスタートアップのニーズがマッチせず、何も実現しないまま終わること多かった。そこで、まず五反田バレーが窓口となって依頼を受けることで、最適なスタートアップとのマッチングを行う。

区と協力して大規模な採用イベントを開催

では、どのように五反田バレーは形成されてきたのだろうか?

五反田を拠点にするスタートアップは、2016年秋以降、個別でメディアへの対応を行ってきたが、2018年春に「皆で集まってアイデアを出し合ったほうが効率的で、より良い情報発信ができる」と結論づけ、社団法人化に乗り出した。

現在の理事企業の6社(ココナラ、セーフィー、トレタ、freee、マツリカ、よりそう)で設立準備を進め、2018年7月の設立会見では、品川区の協力もあり、多くのメディアに取り上げられ、ツイッターのトレンド上位にも「五反田バレー」がランクインした。

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理事企業の一つであるセーフィーCEOの佐渡島 隆平氏(左)と筆者

2019年には、品川区から運営予算を確保し、五反田バレーの認知拡大と社団法人の活動活性化に取り組んでおり、会員企業も発足から1年半で約70社までに増加している(2020年1月時点)。
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文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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