ライフスタイル

2020.02.04 12:00

観光より料理を教えて欲しい。訪日外国人のコト消費最前線

寿司の作り方を教えてもらっている外国人観光客/Buddha Bellies Cooking School Tokyoにて


コト消費をクリスマスプレゼント。なんて粋な贈り物


AM10:00 ────────
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at:YUCa’s Japanese Cooking(東京都荒川区)
⇒ 発酵・玄米といった自然食にも詳しく、また幅広い料理や日本文化をYouTubeなどでも配信する料理教室

小門のBuddha Belliesとはまた違った雰囲気を持つYUCaのスクールは、自宅を使ってレッスンする。

「留学された方はみなさんお感じになると思いますが、現地の和食を食べて、なんか違うという違和感。本当の和食が知られていない現状、寿司と天ぷらばかりの中で、本当の和食を紹介したいなと思っていました」
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帰国後にすぐ行動した彼女は自宅を開放しレッスンをスタート。2013年から現在に至るまで、試行錯誤を重ねながら多くの外国人を受け入れてきた。

取材した日は在日米軍勤務のご夫妻。旦那さんから奥さんへの「クリスマスプレゼント」だという。なんと粋なことを。そしてメニューは「ラーメンと餃子」だ。

ご夫婦で餃子作りに挑戦

ご夫婦ともに料理が大好きで、家にはピザ用の石窯もあるそうだ。週末の時間のある時はパスタも粉から作る本格派だ。奥様のレイチェルは言う。「子どもは回転すしの大ファン。日本の学校に行かせているのだけど、そこでは流しそうめんもやるのよ。家族みんな和食が好き。でも考えてみたら、私たちが子どもころは和食なんて身近になかったから今の子どもたちは羨ましいわ」

今回「家でやってみたかったの」という餃子、そして今や世界中で人気のラーメンに取り掛かる。

YUCaのレッスンは、「なぜ」「なに」が明確であるところが特徴だ。醤油と味噌の話、世界共通の単語である「うまみ」について、図解と共に説明する。

「鰹節を見せて『これは木だろう』という反応は“あるある”です。そこで出汁の成分表を見せながら説明することで、深い納得につながります」というように、出汁(DASHI)という言葉は認知が広がっているものの、それが何でできているかを知らない人は多い。素材の理解を深めてもらうことは大事な一歩だという。

出汁をとる工程に挑戦する外国人参加者

味噌も好きだというレイチェル。出汁をしっかり取る工程も真剣に取り組んでいる。

AM11:00 ────────────

at:Buddha Bellies Cooking School Tokyo.

こちらは後続の参加者が加わった。

アイルランド、イギリス、オーストラリアなど国際色豊かな若き弁護士のグループだ。彼らは仕事で日本に来たのだが、滞在している間、皆で「限られた時間、せっかく日本にいるのだからやりたいことを色々やってみよう」ということで寿司体験を選んだという。

職人から寿司作りを学ぶ外国人グループ

小門もYUCa同様、ただ技術やレシピだけではなく、なぜそうするのか、そして江戸前、押し寿司などの種類や歴史的な背景の説明も欠かさない。職人の修吾は寿司にあう切り方、ネタの取り方、握り方を感覚ではなく形になる過程をこと細かに解説。そうなれば当然、握った形が良くなるというものだ。

寿司の握りを実践する外国人参加者

グループの中にはベジタリアンの方もいた。ビーガンではないが刺身は食べられない。小門は、アボカドや茄子、椎茸など野菜を中心とした握りの素材を前もって用意している。どうしてもライトに見えがちな野菜のお寿司だが、映(バ)えて、美味しいものを提供できるのは職人の力量が寄与しているからだろう。

at:YUCa’s Japanese Cooking

こちらは最終段階だ。出汁をとり、味付けをしたスープの後は、手作りで詰めた餃子の仕上げ。今回のご夫妻は日本在住ということもあり、「日本のスーパー」についても解説するYUCaは、餃子の皮が簡単に手に入ることで今日の料理が特別に手がかからず美味しくできることを説明。

餃子を焼く工程に苦戦する外国人参加者

いつもは1回のレッスンで3〜6人の参加者がいるが、取材時は珍しく1組だったため、細かい質問などのコミュニケーションが重ねられた。YUCaのレッスンの特徴だが、自宅で行うメリットを活かし、スパイスや食器を棚に展開し、料理に直接関係なくても日本の文化に触れられるようになっている。

ラーメン作り完成間近。スープをつぐ外国人参加者

さあ、お昼だ。2つのレッスンともに、実食へ移っていく。
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文=坂元耕二 写真=西川節子

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