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2020.02.02 10:00

ブランド戦略は経営者が考えるべき? ブランディングを考える(後編)

2001年の初出店を皮切りに世界中に実店舗「アップルストア」を展開するアップル。ガラス張りの外観と、白が色調のシンプルな屋内のデザインは、自社製品の“ショールーム”として同社の世界観を形成している。(写真=Getty Images)

インターネットとスマートフォンの普及によりデジタル化した世界。そのなかで、企業のブランディングのあるべき形も変わりつつある。ソーシャルメディアの発達で企業と消費者の双方向コミュニケーションがいっそう容易になったいま、企業はブランディングにどう取り組むべきか。ブランディング専門コンサルタント企業「インターブランドジャパン」の並木将仁CEOに話を聞いた。

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──ブランディングに際して注意すべき点は。

並木:日本企業が陥りがちな落とし穴に、「ブランド」と「レピュテーション(評判)」を同一視しがちな点がある。ブランドは顧客との関係が具象化された「顧客体験」。その点、レピュテーションはそれがどのように実行されているか、に対しての評価で決まる。別の言い方をすれば、ブランドとは「Why(なぜ)」「What(何)」を具現化したもので、レピュテーションは「How(どのように)」が形になったものだ。
 
例えば、90年代後半にスポーツメーカー「ナイキ」が生産委託したアジアや南米の工場が児童を強制労働させていた問題、2018年に配車サービス「ウーバー」が社内で起きていた女性差別を黙殺していた問題、同年に高級アパレル「バーバリー」がブランドを守る名目で売れ残り商品を焼却廃棄した問題などは、「How(どのように)」の点で大きなミスを犯している。
 
確かに、ブランドも“イメージ”であるため、顧客のイメージ形成によって結果として混同されてしまうことはある。しかし会社としてブランド構築に取り組むに当たって、ここは分けて考えたほうがいい。経営者は、まずは顧客を念頭に「Why(なぜ)」「What(何)」を考え、社会に対して恥じることなくそれを実現する手段を考えるべきである。分けて考えることで、仮にブランドかレピュテーションのいずれかに問題が生じた場合、それぞれに合ったアプローチを取ることが可能だからだ。
 
経営者は「Why(なぜ)」の部分でウソをついてはいけない。しかし、「How(どのように)」の部分でミスが生じた場合は誠実に過ちを認め、それを正すことで消費者からの信頼を取り戻すことができる。企業ミッションや製品が消費者から一定の信頼を獲得していれば、信頼回復の素地があるからだ。だがレピュテーションが先行している場合は、肝心の消費者に便益が届かない。いずれ消費者にとって、意味のあるブランドではなくなっていくだろう。
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インタビュー=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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