売上と社員数が半減 どん底から業績回復へと導いたトップの決断とは

2015年、東証一部に上場


リーマンショックの危機を乗り切り、新しい方針を基に会社の業績は少しずつ回復。私たちは更なる企業価値の向上を目指すことを決めました。ジェイエイシーリクルートメントはリーマンショック当時JASDAQに上場していましたが、次なる目標を東証一部上場と定め、更なる企業価値の向上に向け全社のプロジェクトとして動き始めたのです。


業績はリーマンショック発生時の2008年の78億円から2009年は42億円に。売上・社員数共に半減したが、その後は順調に回復

人材紹介事業は無形のサービス業であるため、会社の信頼性の獲得は重要な成長要因です。一部上場企業を目指す目的は資金調達ではなく、会社の信頼性を向上させ一流企業として更なる飛躍を遂げることと、何よりも社員の皆にこの会社で働いていることの誇りを持ってもらうためです。

社員を大切にする想い


また、この期間に私は社員の定着率の向上に全力を注いでいました。会社を経営する以上ある程度社員の離職は想定しなければならないものですが、リーマンショックで大勢の社員を失って以来、私は大切な社員を一人も辞めさせないという思いで、本気で定着率の向上や社員が元気に長く働いてもらえるための取り組みを行っていくことを決めたのです。

会長の田崎ひろみと共に考え、社員が仕事を継続しながら育児の両立を支援するために最高10万円/月という育児手当の支給の導入を開始したり、健康を維持しながら長く働いてもらうために運動を継続している社員への手当や、禁煙を推進させて喫煙率0%を目指したりと、さまざまな取り組みを始め、今でも継続しています。

私が嬉しかったエピソードを一つご紹介します。リーマンショック時に新卒で入社予定だった女性が内定辞退を申し出て別の会社に入社したのですが、3年後に当社で働きたいと再度入社を希望してくれたのです。当社は彼女を中途入社者として受け入れ、入社後に私から当社に戻ってきてくれたことの感謝の意を伝えました。

以来、彼女は素晴らしい成績を収め、現在は数人のチームを率いるマネージャーとして活躍しています。社員を大切にしたいと真摯に取り組むことでその想いは通じるということも、この厳しい経験を通じて学びました。社員の定着率の向上はどの経営者にとっても永遠の課題ですが、この明確な答えがない問いにも真剣に向き合っています。

そして、東証一部上場の目標を決めた2012年以降、およそ3年にわたり東証一部上場プロジェクトを継続。上場審査基準を満たし、無事2015年にJASDAQから念願の東証一部上場企業へと市場変更を果たしました。東証一部上場を機に、ジェイエイシーリクルートメントは人材紹介のグローバル企業として更なる成長を遂げるための第2のステージに入ったのです。
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