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Photo by Chesnot/Getty Images

フェイスブックがアップルのFaceIDに類似した、独自の顔認証システムをメッセンジャーに導入しようとしているとの観測が流れたが、同社はこれが事実ではないと否定した。

今回の憶測は、セキュリティ研究家のJane Manchun Wongが開発段階と思われるメッセンジャーの新機能のスクリーンショットを入手し、ツイッターで公開したことで広まった。これがきっかけに、フェイスブックが今後、生体認証データを自社のサーバに送信するのか、端末内に保存するのかという議論も起きた。

しかし、そのどちらも実行されない模様だ。フェイスブックによると、同社が今後、メッセンジャーに用いる生体認証セキュリティは全て、デバイス依存型のものになり、同社が独自の顔認証システムを開発する計画はないという。

フェイスブックの広報担当は筆者の取材に、「プライバシー機能については、当社は個々のデバイスに設定されたFace IDを用いていく。自社バージョンの顔認証システムを開発する予定はない」と明言した。

プライバシー保護の点で、フェイスブックは評価が高い企業とは言い難い。しかし、同社がユーザーから批判を浴びない範囲で、個人データから利益をあげようとしているのは事実だ。だからこそ、今回のような見方が浮上したの自然なことだろう。同社は社員の顔データを用いて、新たな顔認証アルゴリズムの開発を進めていたことが、既に報じられている。

フェイスブックが独自の顔認証ログイン機能を開発せず、他社による信頼度の高いセキュリティ機能に依存する決定を下したことは、ユーザーとしては歓迎すべきことだ。さらに、同社は以前に打ち出していた、エンドツーエンドの暗号化をメッセンジャーに導入する計画も、撤回する見通しだと伝えられている。

メッセンジャーの暗号化も見送りに

プライバシー重視の姿勢を打ち出すフェイスブックは、ワッツアップに実装済みのメッセージの暗号化を、インスタグラムやメッセンジャーにも導入すると述べていた。しかし、フォーブスのKate O’Flaherty記者のレポートによると、同社はこの決定を見直す方向だ。その理由としては、既存のシステムにエンドツーエンドの暗号化システムを組み込むタスクが、膨大すぎることがあげられた。仮に実現できたとしても、メッセンジャーの暗号化は今から数年も先のことになるという。

20億人のユーザーを抱えるフェイスブックは、プラットフォーム内に貯蔵した数百億点の画像が、将来的に巨大な収益につながる可能性を熟知している。ただし、それを実現するためには様々な障害がある。フェイスブックはグーグルと並んで、他のどの大手テック企業よりも多くの、詳細な個人データを蓄えており、それをAI(人工知能)のトレーニング素材として活用できる。

ただし、フェイスブックは顔認証データの利用について当局から厳しい指摘を受けており、外部企業が数十億の画像データを盗み出していたことでも強い非難を浴びた。

20億人の月間ユーザーを抱えるフェイスブックは将来的に、顔認証データを巨大な収益源に変えることも可能だろう。しかし、同社がそのデータを端末のログイン認証に用いる可能性は消え去った。

編集=上田裕資

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