ターゲットは次世代の旅行者。ローズウッド ホテルズ&リゾーツが巻き起こす新風

ソニア・チェン氏

2011年、アメリカの高級ホテルグループ、ローズウッドホテルズ&リゾーツ香港の財団ニュー・ワールドが約256億円で買収したことがホテル業界での話題となった。その代表を務めるのが、現在38歳のソニア・チェンだ。若きCEOがもたらす高級ホテルグループの改革とは?


ローズウッド ホテル&リゾーツというグループ名は知らなくても、ニューヨークの伝説のホテル、「ザ・カーライルホテル」はご存知の方も多いだろう。

「ザ・カーライルホテル」やパリの「オテル・ドゥ・クリヨン」を含め、全世界16カ国でウルトラ ラグジュアリーホテルを28軒展開するホテル運営会社がローズウッドだ。

前段のザ・カーライル・ホテルはスティーブ・ジョブスやミック・ジャガーなどセレブリティの顧客も多い。そのおもてなしは世界一であると評されており、定泊していたジョン・F・ケネディを訪れる愛人マリリン・モンローのための秘密の通路があったなどロマンティックな噂もあるほどだ。ホテル内のレストランは邸宅のような温かさがあり、バーでは紳士淑女がジャズの生演奏を囲み、唯一無二の存在感を放っている。


ニューヨークのアッパーイーストサイドにあるザ・カーライル・ホテル。伝説の5つ星ホテルとして映画化もされている。

その独自の存在感はローズウッドが創業当時から持つ「Sense of Place」(土地の文化に敬意を表する)という哲学に紐づいたものだ。2011年、ニューワールドグループがローズウッドを取得し、ソニア・チェンが最高経営責任者に就任すると、その「Sense of Place」の思想はさらに昇華された。


2019年に開業した「ローズウッド 香港」。館内はアートで彩られている。 


「私たちがターゲットとする次世代の旅行者(ネクスト・ジェネレーション・トラベラー)は、心身全体で感じられる統合的な経験を求めています。ホテルを作るときには、そのロケーションの文化・歴史・遺産が織り込んでいけるように考えてきました。アートやアクセサリー、食などすべてにその土地らしさ、本質的なものを織り込んでいます」

その言葉通り、2019年に開業した「ローズウッド 香港」では、その土地らしさにこだわりを持つ。料飲施設は8軒あり、どれも地元のゲストが気軽に足を運べるメニューや価格帯を設定している。現代人のニーズに合わせ、心身の両面に包括的にアプローチ出来るasayaという施設がオープンした。


「ローズウッド 香港」の総合ウェルネス施設、asayaは、個々にあわせたテイラーメイドのプログラムが体験できる。
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文=児島麻理子

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