それは、「ビジョンを軸に自分が採る道を人々に提示するのは構わないし、それに賛同する人も出てくるだろうが、全員一致で賛成になるとは思わないほうがいい。自分が信じる道だけが正解なわけではない。そう思わない人に対して、自分の道を押し付けるべきではない」というものです。
こうしたアドバイスから、立場を活かして変革を起こし、自分が信じる価値を実現するためには、どういう視点や行動が求められるのか、私は以下のような2つの指針を立てたのでした。
1. 未来にフォーカスしたビジョンを共有する
自分が良いと信じるビジョンに向けて、何か変革を起こしたいのであれば、そのビジョンを共有するのが第一歩。例えば、自分の周囲の職場環境を変えて、働く女性の地位向上を求めるのであれば、どんな未来であれば女性スタッフが平等と感じ、生き生きと仕事ができるのかを具体的に描き、それを周りに発信していく。
このときに大切なのは、どんな不平等があり、どれだけ理不尽な思いをしているのかなど、現状への不平不満を語るのではなく、どんな未来であってほしいかを軸にして考えること。ポジティブな発信には、人を惹きつける力があるのです。
2. 対立をマネジメントする術を身につける
新しいことをするときには、それに反対する人たちが必ず現れ、対立はつきものです。ただし、「革新を起こすとき、対立が起きなければそれは革新ではない。対立による緊張は新しい道への対価」という言葉もあるくらいですから、対立から生まれる緊張状態を、適切にマネジメントする術を身につけることが重要になります。
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具体的には、対立を感じたときに、2つの質問を自分にします。1つは「自分は“何に”対していらだっているのか?」です。2つ目は「“いつ”そのいらだちが起きているのか?」です。
自分が何に対していらだっているのかがわからないときは、ただちに質問2を自分に問います。誰かに何かを言われたとき? それとも、メールがきたとき?ときっかけを探すのです。
そして、そのいらだちは、すでに起きたことに対するものなのか、未来のことなのか。それは自分に対してのものか、他人へのものか……?と考えていくのです。