ツイッターCEOが進める「仮想通貨のリアルな活用」への動き

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ビットコインの普及は遅々として進まず、取引ボリュームも伸びていないが、ツイッターCEOのジャック・ドーシーはビットコインこそが未来だと考えている。

ビットコインの取引価格は現在、史上最高値の半分程度の水準で、2017年末のレベルには遠く及ばない。しかし、2018年の幻滅期を乗り越えて以降、昨年から大きく値を上げている。

1月27日、ビットコインの価格は急上昇し、ルクセンブルグの取引所Bitstampでは一時、9000ドルを上回る価格となった後、やや値を下げた。5%の急騰の背景に、中国のコロナウイルスの感染拡大を指摘する声もあがるが、その見方を否定する声もある。

フェイスブックが独自の暗号通貨を立ち上げようとする動きに、各国の規制当局が反発を高める中で、ドーシーは彼の決済企業スクエアを通じ、ビットコインの普及を後押しする姿勢を見せている。ドーシーは、決済手数料が低く導入が容易なビットコイン決済が現金と同レベルに拡大するのは時間の問題だとしている。

スクエアの暗号資産部門は先日の公式ブログで、「ビットコインがグローバルな通貨として普及するのは必然の流れだが、そのためには、ユーザー体験やセキュリティの向上、スケーリングの問題の克服が必須となる」と述べた。

その後、ドーシーは「スクエア・クリプト(Square Crypto)はライトニングにフォーカスしていく」とツイッターに投稿した。ドーシーが昨年、設立したスクエア・クリプトは、スクエア内でビットコインや暗号通貨関連の開発を促進する任務を負っている。

スクエア・クリプトは、ブロックチェーンの混雑を回避することで、ビットコイン決済の速度を向上させ、決済コストを抑えるライトニングネットワークの開発キットを構築すると宣言した。

「当社のチームにはオープンソースの開発者らが集結しており、競合他社に比べて迅速な開発を実行可能だ」とスクエア・クリプトは述べた。ビットコインの普及の妨げとなっているのが、ブロックチェーンベースのトランザクション処理の遅さだが、ライトニングネットワークの採用により、ライトコインやリップルのXRP並みの迅速な処理が可能になる。

しかし、ライトニングネットワークの導入が進んだ場合、ビットコインの価格にどのような影響を及ぼすかは不透明な状態だ。

暗号通貨の取引所のBitmexが先日実施した調査で、ビットコインのライトニングネットワークは現段階では、テクノロジー好きな人々が趣味的に利用するものにとどまっているとされた。しかし、今後は現状を上回る活用方法が予測されるという。

一方でスクエアは先日、暗号通貨から法定通貨へのシームレスなトランザクションを可能にする新しいネットワークの米国特許を取得した。

編集=上田裕資

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