スタートアップが挑む、水をめぐる革新と持続可能性

Nebia Spa Shower 2.0 (Nebia)

サンフランシスコに拠点を置くスタートアップが、世界を救おうとしている。シャワーを一つひとつ作りながら。

冗談というわけではない。創業5年目のスタートアップで、シャワーヘッドを製造する「ネビア(Nebia)」は真剣だ。同社の自慢は、アップルのCEO、ティム・クックが最初の個人的な支援者だということ。地元の小さなコミュニティで徐々にファンを増やし、いまではYouTubeでレビュワーに絶賛されるようになった。

ネビアが有名になるまでの経緯は、一流メディアのニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙、タイム誌、建築誌『Architectural Digest』などで詳しく報じられている。

ネビアが2015年に「キックスターター(Kickstarter)」で初のキャンペーンを実施した際には、8559人の支援者から312万6114ドル(約3億4042万円)という、とてつもない資金が集まった。2019年には「Nebia Spa Shower2.0」という製品のために2度目のキャンペーンを行い、4640人から190万ドルが寄せられた。

比較のために言っておくと、革新的なアイデアのために資金を調達できるキックスターターでは、成功したキャンペーンであっても、支援者は100人、寄せられる金額も2万3000ドルくらいが平均だ。

ネビアは現在、キックスターターで3度目のキャンペーンを実施している。資金調達を目指す最新プロジェクトは、アメリカの水栓金具メーカー「モーエン(Moen)」と共同でデザインしたシャワーヘッドで、価格は160ドルだ。

ネビアの高級モデル「Nebia Spa Shower2.0」は同社サイトで購入可能だ。

ネビアが目指しているのは、水の無駄を減らして節約しつつ、水圧の強い快適さを損なわないシャワーヘッドを製造販売することだ。

シャワーを10分間浴びたときの平均的な水の使用量は20ガロン(約76リットル)だが、ネビアは7ガロン(約26リットル)まで削減した。1分間に必要な水量はわずか0.75ガロン(2.8リットル)だ。2021年までに10億ガロンの水を節約すると同社は約束している。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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