テクノロジー

2020.01.28 07:00

スタートアップが挑む、水をめぐる革新と持続可能性


初期の支援者には、オハイオ州クリーブランドを拠点とする創業60年の水栓金具メーカー、モーエンもいた。2018年には、モーエンの親会社フォーチュン・ブランズ(Fortune Brands)CEOのニコラス・フィンク(Nicholas Fink)がサンフランシスコのネビアを訪れ、オフィスでシャワーを浴びた。

「感動的だった」。フィンクはそのときのことをそう振り返る。「ネビアはシャワー体験を再考し、モダンで、素晴らしい使い心地で地球に優しいものへと変えた。われわれは協力すべきだということがわかった」

ネビアとモーエンが共同開発した製品は「Nebia by Moen」と名づけられ、キックスターターで現在、予約注文を受け付け中だ。水しぶきを浴びる範囲が倍増した一方、水の使用量は通常のシャワーヘッドと比べて45%節約できると謳っている。

たしかに160ドルという価格は、多くの人に言わせれば「お手頃」からは程遠いかもしれない(ホームセンターなら10ドルでシャワーヘッドが買える)。だが、ウィンターら共同創業者は、自分たちの原点を忘れたわけではないと話す。彼らが目指しているのは、庶民も手が届く持続可能な水栓器具だ。

さらに、ネビア公式サイトの試算によれば、ニューヨーク市に住む平均的な4人家族がネビアのシャワーヘッドを使うと、1日9分間浴びた場合、年間338ドルが節約できる。ウィンターに言わせれば、すぐに元が取れるというわけだ。

「私たちの望みは、水をめぐる革新と持続可能性をもたらす企業として知られるようになることだ」とウィンターは語る。エネルギーに取り組む天才的な企業は、電気自動車のテスラや、太陽光発電のソーラー・シティ(SolarCity)、スマートサーモスタットのネスト(Nest)などたくさんあるが、「水に関しては、先頭を走っている企業はひとつもない」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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