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2020.01.28

デジタル・リアルの両軸で医療「体験」を変える──日本の医療崩壊を食い止めるために

少し体調を崩したかも、と感じたとき。

近くの病院やクリニックへ足を運ぼうと考えても、どこへ行ったらいいかわからない、仕事の終わる時間に開いているところがない──。そんな理由でつい面倒になり、それとなくやり過ごしてしまうこともあるのではないだろうか。

「忙しくて、医者に行く暇なんてなかったとおっしゃる方が、いざ定年を迎えて病院へ来られるときには既に病状が進んでいて、糖尿病網膜症による失明や、腎不全で人工透析を余儀なくされてしまうことがたびたびあったのです。もっと若いときから治療を受けに病院へ来ていただけたら……という思いがありました」

そう語るのは、株式会社リンクウェル代表取締役の金子和真。東大病院で糖尿病の専門医として働いた後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2018年に会社を創立した、異色の起業家である。

一向に進まない医療のデジタルトランスフォーメーション


株式会社リンクウェルはクリニック向けの業務改善SaaSや診療予約プラットフォームなどを提供している医療系スタートアップだ。医療業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、他業界と比べても進んでいるとは言いがたい、と金子は指摘する。

「全国で10万軒ほどクリニックがあると言われていますが、電子カルテ導入率は35%程度。全体のおよそ9割が個人経営で、医師のキャリアパス上、ある程度経験を積んでから40〜50代で開業する人も多く、デジタルに馴染みのない医師も多いのです。

そして患者さんも高齢者が多いため、デジタル化する必要性を感じられない。だから、DXが進まないのです」

非効率な業界構造の行き着く先には、「医療崩壊」の未来が待っている。

全国には約8000の病院(病床数20床以上)があるが、そのおよそ半数が赤字経営。黒字経営の病院でも補助金などで赤字補填しているところは多く、人件費が削られるのも珍しくない。

だが医療に対する要請は年々増し、当直の翌日にそのまま勤務を続ける「40時間連続勤務」や、医師の約1割が年1900時間を超える残業を余儀なくされているという。これは「過労死ライン」とされる残業時間年960時間のおよそ2倍だ。

「僕も大学院生時代、学費を払いながら、非常に安い給料で患者さんのために残業をもろともせず働いていた。そういう医師が何人もいるのに、どうして病院経営が苦しいのか……。医師の犠牲の下に成り立っている日本の医療業界の構造に、疑問を抱くようになったのです」

一方、クリニックは「診療時間は平日の朝9時〜夜18時、及び土曜の朝9時〜昼13時」といった営業形態が多く、フルタイムで働く人にとって通いやすいとは言いがたい。特定のかかりつけ医を持たない人も多く、十分に「病診連携」ができていないのが実情だ。

病診連携とは、患者はまず地域のクリニックで診療を受け、より高度な検査や診療が必要な場合、連携先の病院へ紹介を受けること。いわば、クリニックが地域の「ゲートキーパー」の役割を担い、病院への患者集中を是正する仕組みのことだ。



リンクウェルのサービスを利用して運営されている、クリニックフォア田町


「現状ではクリニックが『すぐに相談できる場』に100%なっているとは言い難い。『診療時間が短すぎる』『行ったら行ったで、2時間待ち』という状況に、具合が悪くてもつい診療を先送りにしてしまう。

そうやって適切な医療が受けられない状況を放置した結果、重篤な患者が増え、医療費がかさみ、ひいては国民皆保険制度が破綻してしまう……。そんな事態も現実として十分に考えうるのです」

3時間かかる通院時間を、わずか15分に


課題が山積する医療の最前線で、このまま医師として働き続けていいのか──。

迷う金子が活路を見いだしたのは、大学院生時代に訪れたハーバード大学だった。現地の教授や研究者と共同研究するにあたって、医療系ベンチャーやVCの人々と交流の機会があったという。

「ボストンでは、アカデミアで研究をしていた人が起業したり、それで成功した人がVCを立ち上げたり、医師がコンサル会社を経てVCへ行ったり……。医師が医師としてのキャリアをまっとうするだけではなく、医療の知見を持った人がビジネスを成り立たせるエコシステムが生まれていた。僕も日本でそういったエコシステムを作りたい、医療における経営のあり方について学びたい、と考えるようになったのです」

決定していたハーバード大学への留学を取りやめ、臨床現場からマッキンゼーへと活躍の場を移した金子は、およそ7年に渡り日本や北米、欧州、アジアなどグローバルにおけるヘルスケア業界のさまざまな企業のコンサルティングに従事。オペレーション変革やDXに携わった経験を活かし、リンクウェルを立ち上げた。

リンクウェルの強みは、デジタルとリアルの両軸で医療現場のオペレーションを変革する、独自のノウハウにある。

「せっかくオンライン予約が導入されていても、実際は予約時間から1時間以上待たされたりといったことが少なくありません。けれども我々は、実際の現場でのオペレーションも含めて包括的に改善するため、極めて良いUXを提供できるのです」

リンクウェルのサービスを利用して運営されているクリニックフォアグループでは、患者はオンラインで診療時間を15分刻みで選択し、該当日時に来院。ほとんど待たされることもなく、医師の診察を受けることができる。

事前にオンライン上で問診票を記入していれば、医師は患者に対して「今日はどうされましたか?」ではなく、「この症状はいつからありますか?」と、一歩踏み込んだ質問から診察をはじめられる。院内処方を選択しているところなら、診察が終わればすぐに調剤してもらうことも可能だ。

「これまで、クリニックに行っても待合室で延々と待たされ、思うように医師に病状を伝えられず、不安を残したまま診察が終わる。処方箋を受け取って調剤薬局へ行って、また長い待ち時間を過ごして……結局3時間くらいかかることもありました。それを、ものの15分ほどで完結することができるようになります。

ヘルスケア領域でデジタルによる課題解決を掲げる企業は多いですが、もっと初期的で、かつ患者さんが困っている根源課題に我々は向き合いたいと思っています」

日本の医療を変えることで世界に価値を


今、世の中は急速に「アフターデジタル」の時代へ向かっている。オンラインとオフラインが融合し、人々はデジタルとリアルのあいだでシームレスに行動する。その中でいかにユーザーの体験価値を向上させるかが、これからのあらゆるビジネスに問われている。

「我々は『これからの医療を作りたい』と考えるクリニックの方々とともに、診療の仕組みそのものを改善し、患者さんの体験をよりよくしていきたい。AmazonやAppleのように、医療業界をハードウェアとソフトウェアの両軸から改善し、優れたUXを実現したいんです」



海外に目を向ければ、アメリカでは、コンシェルジュスタイルのプライマリケア(総合診療)を展開する「One Medical」が注目を集め、中国ではオンライン・メディカル・プラットフォーム「平安好医生(ピンアン・ヘルス)」が台頭するなど、テクノロジーを活用した新たな医療サービスが広がっている。

一方、日本における医療業界の現状は、決して楽観視できるものではない。DXが進まず、20年、30年前とさほど変わらない非効率的な職場環境が未だ主流ではあるが、金子は果敢にその変革に取り組もうとしている。

「日本の国民皆保険制度を維持していくためには、テクノロジーとオペレーション改善によって、誰もが通いやすいクリニックを増やしていくこと。それによって患者さんが適切な診療を受け、健康を維持できるようにすること。医療従事者の働く環境が是正され、より良い診療を提供できるようになることが重要だと考えています」

そして金子はさらなる未来を見つめている。今後、オンライン診療が普及する展開を見据え、ルールに則りながら患者さんの利便性を高め、医療のUXに貢献。

最終的にはクリニックやオンライン診療で蓄積されたデータをもとに、より良い医療のあり方を模索していくことを目指している。

さらに、病気になる人を減らし、医療を受けること自体を減らすことも目指している。正しい医学・サイエンスに基づいた体のケアを自宅で行うために、新たなメディカルブランド(男性向け Sui+、女性向け sai+)への取り組みも始めた。

世界に先んじて、圧倒的な速度で高齢化社会を迎える日本において、医療の未来は明るくない。だが、金子はこんな見方を提示する。

「医療費をコストとして考えれば、国としても個人としても低く抑えられるに越したことはない。ただ、医療を産業として捉えれば、日本に残された数少ない成長領域と呼べるかもしれません。

それなら、ここで確かなビジネスモデルを築き、新しい価値を提供できれば、日本以外の市場で役立てられるはず。日本で医療のあるべき姿を追求して、いずれ海外でも展開できるようになればと考えています」

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