ビジネス

2020.01.28

中国経営者の6割近く「米中貿易戦争で打撃を受けている」

Costfoto / Barcroft Media via Getty Images

最近の調査に回答した中国企業の経営者のうち60%近くが、貿易戦争は自社の収益に悪影響を及ぼしているとの見方を示した。同じように回答した米国企業の経営者(34%)の2倍近い割合だ。

イギリスに本拠を置く国際的な調査・コンサルティング会社のセンサスワイド(Censuswide)は、アメリカと中国の経営者それぞれ250人を対象に、2020年と、5年後、10年後の景気見通しについて調査を実施した。

米中貿易交渉「第一段階」の合意が成立する前に実施されたこの調査では、中国企業が依然、関税の脅威を2020年最大の懸念事項と考えていることが示された。中国の経営者のうち、貿易戦争の激化が最大の懸念事項だと回答した者は約52%に上るが、アメリカの経営者ではこの割合は33%にとどまった。

各種ビジネスサービスを提供するTMFグループ(TMF Group)で北米地域の責任者を務めるラリー・ハーディング(Larry Harding)は、「この調査結果は、世界の経済と貿易について、概してアメリカの方が楽観的な展望を持っていることを反映している」と指摘する。「アメリカ経済は、中国との貿易戦争のなかでも底堅さを見せている」

中国は、主要な貿易パートナーであるアメリカからの需要低迷から身を守るために、相応の努力をしてきた。第4四半期のGDP成長率は、前年同期比6.2%増と、事前予想を上回った。

それでも、世界的な景気悪化や、イギリスのEU離脱にまつわる問題など10を超えるリスク項目の中で、中国企業の経営者たちが最も懸念している問題が貿易戦争だった。

一方、アメリカの経営者たちは、貿易戦争に関してより楽観的な見方を示した。彼らが懸念している問題の1位がサイバー犯罪、2位が世界的な景気の悪化で、貿易戦争は3位だった。

米中貿易戦争は2年近く前から続いているが、両国がさらなる追加関税の導入を見合わせる第一段階の通商合意を正式に承認したことで、長期的には雪解けの兆候も見られる。

イギリス、シンガポール、ブラジル、フランス、インドという複数の国でも、経営者たちが最も懸念する問題として挙げたのは貿易問題だった。最大の懸念事項としてブレグジットを挙げたのはイギリスとフランスだけだった。

また、ビジネス上の最大のリスクとしてサイバー犯罪という回答が最も多かったのは、アメリカだけだった。

翻訳=森美歩/ガリレオ

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