生理中の「隔離小屋」で女性死亡のネパール 偏見は先進国にも

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生理に関するタブーは、ネパールの遠く離れた地域に限られない。インドで学校に通う女の子たちは清潔な生理用品を使用することができず、生理中は学校に通えず自宅で待機する必要があり、社会でのけ者にされている。

また中国では、多くの地域でタンポンが手に入らないため、女性や女の子らは生理の間、水泳などの多くのスポーツをすることができない。先進国とされている英国でさえ、生理用品の手に入りにくさや不足によって数十万人の女子生徒が毎月学校を休んでいる。

米国では最近、女性に対して差別的な方針として「タンポン税」なるものが認知されるようになった。厳密に言うとタンポンのみにかかる税というものは存在しないものの、特定の健康・医療製品が免税とされている州では、その中にタンポンが含まれていない。2018年現在、米国では36州でこの税制度が維持されている。一部の州ではこの撤廃のため動いていたが、進捗速度は遅い。

完全に正常な身体機能のせいで女性が社会的に孤立し死亡することは、非常に残虐で忌まわしいことだ。悲しいことに、こうした村に住む多くの住民は「清潔ではない」人を引き離すことで村の残りの住民を守り、家畜や作物の生育能力を維持できるといまだに信じている。

エボラ出血熱や、さらにはインフルエンザなど、感染力が高い病気にかかった人を隔離することが現在医療分野で推奨されているのと同様、多くの村人は生理中の女性を隔離することがコミュニティーのためになると信じているのだ。

明らかな違いは、生理中の女性が「不純」ではないということだ。また、伝染病により隔離されている患者と違って生理中の女性や女の子らは全くケアを受けることなく、命の危険にさらされている。これは、教育が大きく欠けていることを確実に示している。結果として社会的に孤立し、防げたはずの病気にかかり、死に至ってしまうこともある。

同じくらい悲しいことだが、辱めとしての「生理小屋」は米国でもいまだに存在している。当時大統領候補だったドナルド・トランプは2015年、ニュースキャスターのメーガン・ケリーと交わした白熱した議論に言及し、ケリーの怒りを「彼女のあの部分から血が出ている」と描写した。

トランプはその後、自分が言及していたのは鼻血だったと言い張ったが、ケリーを含め大半の人はトランプが明らかに生理中の怒った女性の軽蔑的なイメージを作り上げていたと感じていた。死に至る可能性もある「生理小屋」とは大違いだが、生理をタブーとする考え方がまん延していることは今でも世界共通のようだ。

翻訳・編集=出田静

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