かまくら応援隊の日当にもつながるのが「のろし鍋」の存在だ。かまくらの中で何か楽しめないかと検討を重ねた結果、食材も運びやすく、手軽につくれるオリジナルの鍋を考案。地元産の野菜と豚肉「みゆきポーク」がふんだんに入った信州味噌仕立ての鍋を開発した。
「のろし鍋」という名前の由来は、戦国時代に黒岩山にあった上杉謙信の陣の「のろし台」だ。現在、かまくらの利用料、のろし鍋、飯山産コシヒカリのおにぎりがセットで一人3500円(夜は4000円)だという。
地元の野菜と豚肉が入った「のろし鍋」を、かまくらで食べられるプランが人気だ
雪上車でのアクティビティも
かまくらの里を基点にした旅行商品の開発されており、地元のDMO法人「信州いいやま観光局」とも連携し、地元の温泉宿や農家民宿とセットにしたプランを販売している。
宿泊プランは週末のみだが、かなりの人気だ。また、夜のかまくらの里はライトアップがされ、幻想的な雰囲気を楽しむことができるため、こちらも人気が高い。
スキーやスノーボードはやらないが、雪遊びをしたいというファミリー層、女子旅層、訪日外国人層からの支持を得るようになった。近隣の大型スキー場とは異なる顧客を取り込んだポジショニングで成功しているともいえる。
ライトアップされた夜は、幻想的な雰囲気となる
かまくらの里では、かまくらの中でのろし鍋を食べられるだけではない。数年前から、周辺で楽しめる雪のプログラムを実施しており、スノーモービルで楽しむというアクティビティや、普段は乗れない雪上車で遊ぶというような体験もできる。
雪上車体験を体験商品として販売。田園の上を駆け巡る
2015年に開通した北陸新幹線の影響もあり、近年、かまくらの里は訪日外国人からの人気が高い。訪れる観光客の30%近くが外国人だ。
近隣の斑尾高原や野沢温泉などのスキー場が欧米やオセアニアといった「雪あり国」の外国人が多いのに対し、かまくらの里は東南アジア、南米、タイなど「雪なし国」からの観光客が多いという。雪なし国の外国人からすると、いきなりスキーやスノーボードを楽しむのはハードルが高いが、かまくらや雪遊びであれば、装備や準備がなくても手軽に楽しめるからなのだろう。
スキー場が閉鎖されてから約20年、かまくらの里は、飯山市の目玉観光地となるまでに成長した。今年の開催期間は1月24日から3月1日の約1カ月。ただ、今年は暖冬で、例年に比べると深刻な雪不足のため、山から雪を大量に運んでかまくらをつくるなど、準備に苦労をしている。雪上車体験は実施を検討中とのことだ。
連載:「遊び」で変わる地域とくらし
過去記事はこちら>>