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FrontのCEO マティールド・コリン

テック系起業家たちのネットワーク


ZoomのYuanの場合、友人で共にセコイアから支援を受けているRyan Smithが出資したことを聞きつけ、自らも出資することを決めたという。Smith兄弟は、2人ともFrontのユーザーだ。

彼らは、ユタ州で創業したクアルトリクスを2018年11月に80億ドルでSAPに売却した。「Ryanが、Frontに出資しようと思っていると言ってきたが、俺はもう出資したよと言ったんだ」とJaredは述べた。

Frontは、チームによるメール利用を効率化することを目指しているが、エンジェル投資家たちもそのミッションに共感している「我々は業界を良くしようと思い日々格闘している。メールは機能が悪く非効率的だが、人々は毎日何時間も利用している。我々はメールの生産性を向上したいと願っているから、Frontを応援しているのだ」とRyan Smithは話す。

ZoomのYuanも同じ考えだ。「メールは問題が多く、誰も幸せでない。コリンは、我々がビデオ会議業界で達成したのと同じく、メール業界に破壊的な変化を起こそうとしている」と彼は話した。

これまで、エンジェル投資家らはVCと比べてハンズオンの支援が少なく、取締役会メンバーになることもあまりなかった。一般的に、エンジェル投資家の多くは趣味や副業程度の関わり方で、重要な意思決定に加わったり、一刻を争う状況でアドバイスをしてくれるケースは少ない。

調達資金で新たな市場を開拓

このため、多くのエンジェル投資家から資金を調達することは、スタートアップにとってリスクだとされる。しかし、オクタのKerrestは、そのイメージは誇張されていると指摘する。彼と共同創業者のTodd McKinnonは、ID管理クラウドサービスのオクタを立ち上げ、2017年に株式上場を果たした。同社の時価総額は、約156億ドルに達する。彼らも創業当初は、HubSpotの創業者など、他の起業家に支援を求めたという。

「大手VCから、“会ってもらいたい起業家がいる”という連絡をもらってアドバイスをすることがある。VCが先輩起業家を紹介してくれるというのは聞こえがいいが、実際の提供価値は小さい」とKerrestは話す。

コリンが唯一後悔しているのは、出資してくれたテック企業の経営者たちが全員男性だということだ。彼女は、大手ソフトウェア企業の女性経営者にも声を掛けたが、返事がもらえなかったという。

Frontは、今回調達した資金を使ってサンフランシスコ本社とコリンの母国フランスのパリにあるエンジニアリングオフィスで人員を採用する予定だ。プロダクト面では、オートメーションツールなど新たな機能を開発するという。現在の顧客には、ShopifyやStripeなど大手テック企業が含まれるが、今後はメールによるコミュニケーションが主流である伝統的な業界にチャンスが多いとコリンは考えている。

「最近は、中東で開催されるトラック業界のカンファレンスなどに参加している。ターゲット層が誰で、どこで見つけることができるかわかってきた」と彼女は語った。

編集=上田裕資

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