中国の教育システムでは今でも、テストの点数向上のため詰め込み教育を行う伝統が広く見られるが、それにもかかわらず中国人の親らはますます創造性を求めるようになっている。パンダの故郷として国際的に知られる中国南西部の成都では、自治体政府や技術系企業、起業家らが創造性を促進するようになった。
同市は中国西部の産業拠点、欧州への列車が発着する鉄道ハブ、そしてハイテク企業の新たな目的地として確立されてきた。手が届く家賃と質の高い教育を備えた成都は、不動産が高額な北京や上海には住めなかったような若い家族にとって魅力的な街となっている。
米シンクタンクのミルケン・インスティテュート(Milken Institute)が昨年10月に発表した中国の優秀な経済都市ランキングでは、成都がこれまで首位になることが多かった北京や南部のテックハブである深セン市を抜いて首位の座を射止めた。
同報告書は、雇用や賃金、域内総生産(GRP)、外国直接投資(FDI)など9つの成長指標に基づき中国の262都市を順位付けしたものだ。成都市は5年の雇用成長率で1位、賃金成長率と外国直接投資で4位になった。
ミルケン・インスティテュートの調査では「成都市は数十年の間、製造業の中心として機能し、防衛関連や機器の生産を専門としていた」と述べ、「同市は現在、中国で人口が多い上位5都市に名を連ね、輸送機器の製造、バイオ技術や生命科学の研究開発(R&D)、家電製品などの多様で革新的な産業基盤とともに経済を拡大してきた」と説明している。
北京が政治の中心として、上海が中国本土の金融の中心地として、また深センが革新的な技術ハブとして確立されてきたように、成都市は中国西部の創造的な文化の中心地としてのアイデンティティーを作り上げつつある。四川省の省都である同市の人口は1600万人で、地元の自治体と省政府はどちらも数十億元の資金を投じ、創造性に強い都市としての成都のイメージ強化に取り組んでいる。